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百寺巡礼 第四巻 滋賀・東海 (講談社文庫)

価格: ¥590
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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信長と戦い、生き延びてきた近江路の寺の物語 ★★★★★
第四巻は、近江路から岐阜の旅です。この中で一際異彩を放つ寺は「延暦寺」でしょう。この巡礼の旅では、天台宗、最澄の足跡に随所で出会うことが出来ます。西国三十三箇所巡礼というものがあるそうですが、その礼拝所と重なっているお寺さんが多いようです。五木寛之さんのこの巡礼の旅が感動的なのは、五木さんが大事になさっているのが「物語」にあるからだという感想をここにいたって抱きました。物語は事実ではないし後世の人の付け足した創作も多く含まれているだろうけれども、それは問題ではなく、そういう物語を多くの人が信じてきた、あるいは信じようとしている、そのことに意味があるのではないか、というお考えです。私もまったく同感です。神仏の世界には必ず超常現象が加わってできあがっています。科学ではない世界がここにあります。分析を得意とする科学の説明よりも、神仏のお告げの方が遥かにわかりやすく信用できることもあります。それが人間にとってはかなり重要なものであることを五木さんの後をついていきながら感じています。お寺に詣でた時に感じる、ピリッとするような心の張りが人間の時間のうちに必ず必要なものであるように思います。お寺めぐりにはそんな貴重な体験が含まれていると思います。近江路のお寺はある歴史上の人物に破壊されつくしました。織田信長です。寺を参って、信長という人物の凄みのようなものも感じますし、一度は焼け落ちても再び甦り、信長よりも遥かに長寿を生きている寺というものの暮らしぶりなど現代人に多くのことを語ってくれていると思うのです。4巻目に入って、五木さんの筆致も一段と冴えてきたのではないかと、嬉しさをかみ締めながら読み進めています。