20世紀こそがアメリカの年
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アメリカというと建国時の独立戦争や南北戦争をまず思い浮かべますが、2つの大戦のあった20世紀こそがまさにアメリカの世紀だとわかります。20世紀を丹念に知りたい場合、本書はうってつけの本です。入門書であり、ちょっと詳しい専門書でもあります。
20世紀のアメリカ社会を概観する
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本書は、アメリカのフェミニズム研究の大家である著者が、20世紀のアメリカ社会の軌跡を概観する一冊である。
著者の言葉を借りるならば、20世紀アメリカ社会の基盤が、世紀転換期に興隆した「革新主義」と呼ばれる思想にもとづいて形成され、政治・経済の指導者から移民や黒人などに至る多様な人々によって動かされてきたその経緯を明らかにするものである。
(上巻)は、20世紀前夜(1890年代)から第2次世界大戦終結(1945年)まで。急速な工業化により「世界の工場」としての地位を確立し、2つの世界大戦を経て、アメリカ主導の世界を実現するまでの過程を描く。
一方、(下巻)は、第二次世界大戦終結後(1945年)から、同時多発テロ(2000年前半)まで。ソ連との対立、ベトナム戦争の泥沼化によりアメリカの国際地位が低下する中、公民権運動など社会改革を求める動きが加速する。冷戦の終結により超大国となったアメリカは、どこへ向かおうとするのか。国内外の新たな試練にさらされる現実を描く。
本書は、アメリカの政治、経済、文化、思想、外交など多方面の分野がコンパクトに解説されているだけでなく、前提知識の無い読者を想定して書かれているので、背景知識のない読者でも十分読みこなせるように仕上がっている。アメリカ社会の全体像を知る入門書としては最適な一冊といえる。
詳細なアメリカ現代史(下巻)
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新大陸のフロンティアへの膨張があらかた終了し、超大国としての道を歩みはじめた20世紀のアメリカの足跡を詳細に記述するアメリカ現代史の好著。本書は本格的な工業化がはじまる1890年から原爆投下による日本に対する勝利の年である1945年までを扱う上巻と、そしてスーパー・パワーとして長い米ソ冷戦対立を経て、最終的に共産主義に勝利し、米国中枢同時テロ直前の2000年までを扱う下巻で構成されている。各巻とも巻末に詳細な年表と「20世紀のアメリカを知る本」という文献リストが整備されている。世界貿易センターへのテロについては下巻で「『9月11日』が示すアメリカ-結びにかえて」という章を設けて、著者の意見が開陳されている。
すばらしい!!大変役立ちました。
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上下巻まとめて買いました。目次が大変うまく分けられており、これ2冊を通して読むだけでアメリカ近代史の一通りの知識がつきます。
専門書としても、教養書としてもお薦めできる本です。
新書でこれだけ充実しているのは初めてでした。