因縁の始まり
★★★★★
第2巻はホワイトベースのサイド7脱出から地球降下までを収録。
全編(もっといえばシリーズを越えて)のライバル(時には頼もしい仲間)となるアムロ・レイとシャア・アズナブルの因縁の始まりである。
かたや成り行きで連邦軍の新型モビルスーツに搭乗することになった少年。
かたやルウム戦役で手柄を立てて「赤い彗星」のおくり名で両軍に恐れられている青年。
よもやこの偶然の遭遇戦ともいうべき戦いが、これほど尾を引くとは誰も考えなかったに違いない。
極言すれば、この二人のライバル関係が無かったら「ガンダム」は果たしてここまでビッグタイトルになったであろうか?
このあたりを踏まえて読めば、より深く「歴史の重み」を体感することが可能になるかもしれない。
ダーティ・ヒーロー、シャア
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放映当時、小学1年生程度だった私には理解できなかった内容が、大変解りやすく厚みのあるものになっていて、大人が読んでも面白い内容です。それにしてもシャアの神秘的で哀愁を秘めた、一人の男性として見てもセクシーな魅力は読んでいてドキドキします。片腕を捕えられるセイラがうらやましくなってしまいました。
「シャア少佐」って3回言ってみて。
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小学校低学年から中学年に照準を合わせて制作されるロボットアニメとは、明らかに一味違う。確かに見覚えのあるあの場面も、子ども向けならではの違和感を取り除いて描かれており納得がいく。
懐かしい名台詞やエピソードの盛り込み方にも、初期設定ではこのつもりだったのかな、と憶測しながら読むもよし。
情緒豊かなホワイトベースの若者たち。肥大に伴う衰退をにおわせる軍。反して消耗すれども躍動感に満ちた敵方の軍人たちが小憎らしくて、敵役はこうあってこそドラマも盛り上がる。
こんなヤツだったか、と首を傾げたくなるほどに冷徹なシャア・アズナブルは、若さと過剰な自信に満ちて大胆不敵。兄妹のちょっとキケンな「構図」は著者の狙いか、編集者のたくらみか。迎え撃つブライト艦長も、テレビで見たより若々しく大胆だ。
いや単に「子ども番組」という前提をフィルタにしていただけかもしれないぞ、と当時の自分を振り返ってみるのもまたよし。
「シャア少佐」が早口言葉として認知されたのは、確かこの頃。
指揮官、管理職としてのブライト
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サイド7を脱出しルナツーへ進路を取るホワイトベース。ムサイ単艦で執拗に追撃するシャア。シャアが補給を行うタイミングに、ホワイトベースは逆撃を試みる・・。
テレビ版のストーリーに沿って、ディテールをきちんと描きつつ展開する。ムサイに対する補給、ルナツーの置かれた状況など、必然性がきちんと説明され、より、わかりやすくなっている。いまさからながら驚くのは、ロボットアニメに補給の概念がきちんと描かれていること(地表に行ってからも、補給機ミデアが登場するし)。
アニメで見ていたときの印象とは異なり、アムロよりもブライトに感情移入してしまう。船内に収容した数千人規模(アニメでは数百人規模と言われていた)の避難民、寄せ集めの乗組員、早くも命令不服従になってしまう(経緯を考えればそれはそれで当然だが)アムロ・・・。けっして口には出さないが、責任を負ってしまったブライトの苦労がしのばれる・・・。対するシャアの自身に満ちた指揮と士気の高いジオン兵たちの戦いぶりを比べると、なんともブライトに同情している。またルナツーの司令官であるワッケイン少将の名セリフが再現されているのもよかった。
30代後半は読もう
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ファーストガンダムです。が、よりリアル感がありますよ。ファン以外も必見です。