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議論のレッスン (生活人新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 日本放送出版協会
Amazon.co.jpで確認
わかりやすい論理的思考を鍛える本 ★★★☆☆
易しく書かれているし、論理的思考法がよく理解できる良い本だと思う。
大学1年生、新社会人などは一読して損はない。

しかし内容は王道というか、基本的な事柄でまとめられているので、
読む人によってはあたりまえの事しか書かれてないつまらない本にもなり得る。
「あぁ、そうだったのか」と腑に落ちたこと ★★★★★
いままで会議で、なんで相手と論点が噛み合ないのかなぁとか、どうしていくら主張を繰り返してもわかってもらえないのかが理解できず、歯がゆく思っていた。
Amazonでこの本を衝動買いして読んだら、「あぁ、そうだったのか」とわかったことがある。

・主張とは、もともと誰かへの反論のこと。まったく同じ意見や当たり前のことを主張する意味は無いのだから。
・主張(結論)と根拠(データ)のあいだには飛躍が存在する。
・その飛躍を論理的に説明するのが、「論拠」というもの。
・困ったことにこの「論拠」が、発話者の隠れた考え方やものの見方であることが多く、聞き手にとっては飛躍が埋まらないことがある。
・「隠れた論拠」を聞き手が暗黙に了解できない場合は反論(次の主張)ができない。だから論点が噛みあわず、正しく議論が成立しない。
・自分が発話者の場合も、自分の隠れた考え方を気づいてない場合がある。論拠を伝えてないのでわかってもらえないと言うことになる。

その後、実際に会議でキーポイントの「論拠」を隠さず説明することに時間を費やしてみた。
自分の個人的なものの考え方を説明すると相手に反論のきっかけを与えてしまうので損をするような気もするが、結果的に論点の噛み合う反論があったほうが、主張(結論)に対する全員の納得が得られたので、かえって気持ちよい議論が成立できた。

この本のおかげである。
歯ごたえと価値があります ★★★★☆
なぜ議論のすれ違いが発生したり、独りよがりの議論になったりするのか、なぜ雰囲気だけの議論に流されてしまうのか。

自分や他人のアタマの中をすっきりさせ、かみ合った議論を行うことができるようになるために、主張、根拠、論拠をきちんと整理して考えよう、というのが本書の主張であり、そのための方法が紹介されています。

新書にしては読み応えがあります(むずかしいところもあります)が、それは自分のアタマがすっきりしていないからかもしれません。がんばって読むしかありませんが、それだけの価値があるということでしょう。

付録2(分かりやすい議論のためのチェックリスト)は会議前に参加者全員で確認する、といった使い方もできそうです。
ルールを知り、場数を踏む ★★★☆☆
気付けば長い間サラリーマンをやっているが、会議の場で気の利いた発言が出来た試しがない。元々用意していた内容を説明するくらいなら、まぁなんとかなる。でも議論がいよいよ白熱してくると、もう居場所がない。自分の頭の回転が鈍いから話についていけないのか、そもそも周りの話のほうが噛み合っていないのか、釈然としないまま、言葉を奪われた地蔵のようになってしまう。無能の烙印を押されたような気分だ。ああ、議論が上手くなりたい。

・・という切実な事情から、すがるような想いで手に取った一冊。で、果たして読後に何かしらの光明は得られたかというと、正直なところ、微妙だ。

そう感じたのは、本書が新聞の社説といった「書き言葉」を題材として、その論理の構造や論理の不備を分析する、というアプローチを取っているという点に尽きる。その分析の仕方は非常に明解かつ要を得たもので、異論はない。ただ、それってあくまで「書き言葉」の世界の話でしょ?という感が拭えない。「書き言葉」の論理の分析がいくらキレイに出来ても、「話し言葉」で議論が上手に出来るとは思えない。

著者はその辺りはかなりナイーブであり、「書き言葉」の論理を分析する訓練を積むことで、口頭の議論のスキルも向上すると述べている。そうかもしれないが、口頭の議論にはそれにふさわしい戦術やテクニックがあるはずで、私の知りたかったのはそこなのだ。

しかし、口頭で行う議論のスキルを、書物から学ぼうというという発想自体が端から違うのかもしれない。英会話の書物をいくら読んでも英語が話せない、というのと似ている気がする。こればかりは場数を踏むしかない、ということか。
「Toulmin議論モデル」と「やはり」がキーワード ★★★★★
「議論とはなにか」、「議論を分かりやすくするための予備知識とはなにか」を、一般読者に解説するのが本書の直接の目的だという。先ず、議論とは「根拠(証拠)に基づいてなんらかの主張(結論)を導くような、論証を伴う言語行動」であり、必要な予備知識が「Toulminの議論モデル」であることを明らかにしている。次に、この議論モデルの主要素である「主張」「根拠」「論拠」を手掛かりに、実例に即しながら議論の構造を解明していく。そうして、世の中にはびこる議論のまずい点、自分自身の考え方の中にある隠された曖昧な点が判断でき、時と場合に応じた議論のレベルを選択できるようになろうという構成になっている。
先ず、「Toulminの議論モデル」の解説が実例に即し、過不足なく整理されており初心者の私にも理解しやすい。次に「Toulminの議論モデル」の6要素うち、理解の鍵が「論拠」にあることが強調される。「根拠は論拠依存性に出現し、いわば主観的に意味付けされたもので、それ自体には内在的意味合いは無い」という記述が印象的である。さらに、「やはり」という言葉が議論の終焉を意味するキワードであることが心に深く残った。
読後には、日常的に行われている会話や、活字や電波を通して伝えられる識者の言動などを、また違った視点から眺めることができる気がする。私のような、一般レベルの読者に推奨できる。