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言語情調論 (中公文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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折口学の原点、大和言葉のダイナミズム ★★★★★
「言語情調論」は、折口信夫が明治43年、國學院大学国文科卒業論文である。1世紀近くも前に一学生が書いた論文は、今もなお不思議に読む者の心を打つ魅力を持っている。
「言語情調」とは、話し手の気分が言語を通じて聞き手の意識に再生された気分・情調である。それはまた、象徴性に富む言語で、包括的で、暗示性や多義性を持つ。時に曖昧で無意義的で、主観・客観を分かちえないような言語で、言うまでもなく、「言語情調論」の対象となる象徴的言語である。 
 その中で力説しているのは、音覚情調で、次の6項目を挙げている。
1、音質。2、音量。3、音調。4、音脚。5、音の休止。6、音位。 
 それぞれに適する具体的例を和歌や歌謡から取っている。
 祖母君は昨日と今日といふ如く十年々々に頬やすとわびぬ
 この歌の第5句は「ほやすと・わびぬ」と音脚が4・3に分かれる。それが心になじまない調べであることを指摘している。
 万葉集の歌の特色は写実にありとした同人アララギ派と一線を画して、折口万葉は自在な日本人の言語情調を重んじていた。
「枕詞は、大体において無意味なもので、肝心の修飾の職掌はわすれて、現在の有様は予めある気分を起こしておいて、かつて修飾していた描写性のうえにその情調を発射して、気分の統一をはかる様になったのである」(43頁)という一文にしても、けっこう折口論を象徴していると言える(雅)