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人生のちょっとした煩い (文春文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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小骨と軟骨が交じり合った味わい ★★★★☆
グレイス・ベイリーの第一作目の短編集。
第一作といっても五十年近い創作活動で、わすが三冊しか発表していないので、
巷で言われるところの処女作的な色合いは濃くはありません。
ただ前に出版された「最後の瞬間のすごく大きな変化」よりも難解な話が多い気がします。
それは私自身が民族的、もしくは宗教的な背景に疎いため理解できないの一因ですが、
幾つかの作品は著者が細部のストーリー・テリングに熱中し過ぎて、
結末との間にズレが出来てしまったと感じるものもあります。
唐突に終り迎えたり、結末へ展開が性急だったりと。
しかし会話などにみられる少し毒気を含んだユーモアのある表現は、
実に個性的で、その絶妙な言い回しに出会えるだけでも楽しめる本です。
ペイリーは政治活動も精力的に行っているようなので、この独特のユーモアも、
そのなかで培われたのかもしれません。講演で弁が立ち、聴衆を飽きさせない表現者というべきか…。
あと翻訳されていないのは、
残り一冊。今度はあまり待たさないで、と願うばかりです。
ペイリー節にはまりました。 ★★★★★
この人の小説は、内容的にはそこらの世間話的なことが多いんだけれど、でも、かなりインテリジェントで噛み砕くのにそう容易でないことに気づきます。小難しいとか退屈とかの対極ではありますが。いつも、ユーモラスで二律背反性を軸に、独自のスタイルがはじめから最後まで楽しめます。はまちゃったら、すごくはまるんじゃないかな。結構、ご高齢で寡作ということで、もっと読みたいんだけどな。という気もしますが、多分新作は無理でしょうね。作家としての価値を考える時に、数少なくてもこれだけのものを書ければ十分でしょうか。
この人は ★★★★☆
 レイモンド・カーヴァーと同じにおいがする。ほとんどどうでもいい、わりとたいしたことのない話にほんのちょっとのユーモアと見え隠れする絶望を加え、魅力たっぷりに仕立てている。
 にしても、訳者・村上春樹が苦労しているだけあって、平坦なようでいてそうではない文章は曲者。とくに、この短編集のいちばん最初の話、わざと意地悪しているんじゃないのか?と思うくらい、読みにくい。独特なくせがある。
 基本的にライトな純文学好きの方にはおすすめかもしれない。
はぐらかされてるのかな ★★★★☆
とっても不思議な読みごこちのある文章です。内容はとっても身近な話だったり、とんでもないなんでこんな?と思うような設定だったりで全部がしっくりくる感じではないのです。出てくる人たちは言い合いをしているのにストレートに文句を言うというよりはちょっと斜めに相手を見ていたり、とても大変な状況になっているのに、まるで他人事のように話していたり。話が大きく展開するかと思いきや急に静かになるような、なにしろ今までの話の進み方や感じとはちょっと違うのです。全部を噛み砕くには時間はかかりそうですが、このはぐらかされ方が癖になりそうな予感はします。
グレイス・ペイリーという魅力 ★★★★★
グレイス・ペイリーという人は、ふしぎな人である。とりたてて特別なことを書いているわけじないのよ、と、いう語りくちで、事実特別なことを書いていたりする。特別なことを書いているのか?と、読んでみれば、ぜんぜんどうでもいいことだったりする。
彼女の書くもののなかで、人生のあちらこちらに現れる幸福と不幸は、まるで同等のもののようだ。こんなことがあったわ、でもまあいいじゃない、あんなことだってあるんだからさ。そんな感じである。楽観的かと思いきや、ペシミスト。ペシミストと思いきや、ものごとを軽やかに笑ってみせる。
ふしぎな人だなあと思う。こんな人に、一度でもいいから会ってみたいなあと思う。こんな人のそばで、人生を笑い飛ばしてみたいなあと思う。何度でも読みたくなる理由は、きっと何度でもグレイス・ペイリーに会いたくなるからだ。