短篇小説の巨匠
★★★★★
。『1Q84』と『ダンス・ダンス・ダンス』を、この一カ月位の間に立て続けに読んだので、長編小説はしばらくおやすみ。現在は、『頼むから静かにしてくれU』レイモンド・カーヴァー(著)村上春樹(訳)(中央公論新社)を読んでいる。この本は米国人作家カーヴァーの短編小説集である。毎晩寝る前に一篇ずつ読むことは、僕のささやかな愉しみとなっている。
余韻を楽しむ短編集
★★★★★
村上春樹らしい短編集といえると思う。村上作品が好きな人ならば、満足のいく一冊に違いない。『あなたお医者さま?』とか特に…
私が一番好きなのは、『でぶ』と『そいつらはお前の亭主じゃない』どちらも、独特の余韻が楽しめる。レイモンド・カーヴァーの作品をもっと読みたくなる様な一冊。短編集が読みたいと思ったら、気軽に読める作品集。
きらっと光るセンス
★★★★☆
アメリカの地方都市のワーキング・クラスの家庭を舞台に、日常の中のちょっと変わった出来事をさらっと書いている、そんな短編集でした。
平易な文章の中にユーモアを含んで、きらっと光るセンスで書かれた作品です。
特徴的なのは、それぞれの作品の終わり方で、唐突な感じもしますが、落語の落ちのようなそんな気もします。ただ、その結末がきちんと書かれていないところが、読む側に何となく気持ちが悪い読後感を残すかも知れません。この作家を好きになるかどうかは、そこで決まるのではと思います。
不思議な面白さ
★★★★★
ほとんどの短編を通じて、基本的に情けない男性が主人公。半ば投げやりの人生でもこうして暮らしていかなければならない苦痛に満ちたおかしさがたまらない。
カーヴァーの処女短篇集の分冊
★★★★★
箱入りの全集版はけっこうな分厚さがあるが、本書は新書サイズになって、さらに2冊に分かれたので、お気に入りの静かなカフェで読むにはぴったりである。再読してみて驚いたのは、不意打ちで竹をスパッと割るような終わらせ方をしているので、とてもミステリアスだったこと。幾様にも解釈可能で、その足場の不確かさが催す不安感みたいなものがたまらない気がする。かなりシンプルな言葉の積み重ねで淡々と綴られているのに、清流の奥の淀みみたいな底知れない深さがある。短篇の題名は文中のある会話から採られていることが多いけれど、そのセンスも秀逸だ。アメリカの冴えない郊外のミドルクラスの人々が主人公となった悲哀と渋いユーモアと謎が詰まった13篇。