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大名屋敷の謎 (集英社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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お金ではどうにもならない壁 ★★★☆☆
尾張藩江戸藩邸に出入りして汲取りや庭園の維持管理、人馬の供給といった
下仕事を請け負いビジネスとして成功させていった江戸の農民のたくましい様子が
リアルに描写されている。

様々な機会に抜け目なく金銭を稼ぎながら、最後に「武士にしてくれ」と頼み込んで
断られてしまう農民の記述があるが、いくら金を稼いでも名誉欲は満たされない
現代にも通じる構図が見てとれて、ものがなしくもある。
そりゃ、家賃の二重取りってんじゃねぇのかい、大家さん。 ★★★★★
 長屋の便所の汲み取り代が大家の副収入になったりする話は、落語にも出てくるが、
実際にそれが如何ほどの収入になったのか具体的な数字を出しながら明らかにするなど、
尾篭な話だが非常に真面目な一冊。

 水洗が普及するまではバキュームカーが来たり、それ以前は「汲み取り屋」
(と呼ばれていた)に料金を払って汲んでいただいていたことをご存知の方は50代
以上だろうか。
 高田馬場あたりの川をおわい船が上下していたのも、懐かしい。

 しかし、もっと昔の江戸時代は、重要な肥料として農民側からお金を出して
購っていたのだ。
 若い方はそれ自体が驚きだろう。
 こういった資料をどうやって探しだすのか、学者さんもなかなか大変なことだと思う。

 尾張徳川家の屋敷の汲み取り代から、大名屋敷にはどのくらいの人数が住んで
いたのか割り出したり、大名屋敷はいいものを食べているから汲み取り料は高い、
など江戸時代後期の町人から武士の暮らしぶりまで、あぶりだされて興味はつきない。
新書の良さが認識できる好著 ★★★★★
 新書の良いところは、様々な分野の研究成果を手軽に楽しめるところ。この本は、そのような新書の良さに最適な題材だと思う。著者とともに編集者の目の付け所を評価したい。
 平成八年に資料整理が終了した豊島郡戸塚の豪農に残された「中村家文書」の研究成果を主体に、大名屋敷における肥と飼葉の流通実態を説明。大名屋敷が多くを占める都心部と周辺の農家との経済関係を分かりやすく説明してくれる。農家を取りまとめる豪農と大名屋敷の交渉ぶり、明治維新及びその後の豪農の立ち回り方等々読みどころは多い。
江戸の本当の姿を、私たちはまだ知らない ★★★★★
昨今の江戸ブームもあり、まるで見てきたように語る書籍や
江戸を舞台にしたTV番組もあふれている中、
「江戸の本当の姿を、私たちはまだ知らない」
という事実を本書は教えてくれます。

江戸の面積の7割を大名達の所有地が占めていたということ。
大名屋敷は軍事施設であり、詳細については明らかにされていない。
貴重な発見資料から事実を紐解いていく筆者の語りは、
まるで推理小説を読み進めるような楽しさがあります。
江戸時代を語る際に滅多に表舞台に名前の出てこない「農民」が、
この武士たちの生活を支えるために、
現代に通じるビジネスモデルを構築していたという事実。
利権争いや人材派遣、入札制度など、
意外にも現代のビジネスマンと仕組みも競争原理も
酷似しているスタイルに、親近感を覚えました。

豪農が、現代の代理店のエージェントのような機能を持ち、
武士社会を裏から支えていた事実は、
これまでまず語られてこなかった、興味深い内容です。
新書の帯にはちょっとセンセーショナルな煽り文句が
書かれていますが、
中身はいたって真面目な、濃い内容。満足度が高いです。

ドラマや江戸ブームの理想像的な内容を期待されている方には
お薦めできませんが、
想像や空想ではなく、史実から推察される、
あの時代の本当の姿を垣間見たい知的好奇心には
最大限に答えてくれる良書の一つだと思います。
江戸のビッグビジネス ★★★★☆
循環型社会を達成していた例でよく引き合いに出される江戸の下肥回収ビジネス。エコの響きと一緒に話題になるからか、ほのぼの感を感じるが、農民たちは下取り料金を上げたり、ごみ掃除というオプションもつけたりと激しい獲得競争を繰り広げていた。本書は、農民といいつつも、巧みな交渉と痒い所に手を届くサービスで、屋敷内で自給自足できるほど外界から独立していた大名屋敷の生活のあらゆる面を請け負い、巨額の利益を上げた「御用聞き」ビジネスを新宿区の名主の文書から描き出す。

本書の主人公である中村家は尾張藩の御用達だったが、そこに記録された御用聞きビジネスは実に多岐にわたる。便所掃除、人馬の派遣は言うまでもなく、庭園整備(山を築き、池を掘るほとんど土木工事と言ってもいい)、物資輸送など何でもやる。江戸の商売というと、落語や小説で出てくるような呉服屋、蕎麦屋なんてものを想像してしまうが、商家ではないところにこんなビッグビジネスがあったのかと感心した。