革マル派「KAMKAZE」アメ大突入
★★★★☆
1969年2月4日革マル派の特別攻撃隊(隊長は早稲田一文のK君)アメリカ大使館の塀を乗り越え侵入2階のベランダを占領して気勢をあげた。アメリカ大使館には武装した海兵隊員が常駐しているので射殺覚悟の決死隊だ。アメ大ではマシンガン、狙撃ライフルで武装した海兵隊が驚いて出動したが発砲はしなかった。もし発砲して死者が出た場合世論の猛反発を受けるので大使が発砲を禁じた。革マル派が占拠した2階のベランダはなんとCIA東京支局のオフィスだった。急襲されたスパイどもは「テロ」とみなし恐慌状態で逃げ出した。いかな「情報の革マル派」もそこがCIA東京支局とは知らなかった。春名幹夫の「CIA 極秘ファイル」に書いてあった。いやー惜しい。窓を鉄パイプでぶち破りコンピューター・システムを破壊すれば歴史的快挙だったのに。この前代未聞の特攻攻撃に懲りたアメリカは大使館を要塞化し現在にいたる。ざまあみやがれ。CIAなんぞ怖くはない。
一級のドキュメンタリー映画
★★★★★
この作品は特典映像に収録されている「その後〜もうひとつの旅〜」と合わせて見るべきである。そしてふたつ合わせると一級のドキュメンタリー映画に仕上がっている。成功の理由は、米国で育った日系女性監督と日本で育った米国人の女性プロデューサーが、丁寧に資料をあたり、丁寧に関係者を取材し、丁寧に編集したからに他ならない。「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」で描きたくて描けなかったことがこの映画にはある。
特典映像の中で、元特攻隊員の老人が庭先の丘を指差し、子供の頃あの丘の上でよく歌を唄った。そしてその丘を越えてゼロ戦が特攻に向かったと涙を流す。ゼロ戦に撃沈された船から生還した米国人はどんな歌かと問う。やがて老人は「ふるさと」を歌い出す。今度は米国の老人が「カミカゼパイロットが歌うとは思わなかった」と涙を流す。これは架空の話では描けないリアリティある良いエピソードだと思う。
一点心配なのは、ある元特攻隊員が飛行機の不良で生還後、原爆投下の翌日に広島の町を彷徨った際、戦う意欲が失せたと話す場面がある。これは意図した訳ではないだろうが、結果的にアメリカ側から見ると原爆投下の正当性を裏付けることに組しないかと感じた。
後世の日本人の幸せのため
★★★★☆
実際の特攻隊員の方へ繰り返す、ストレートな質問。
本人も言ってたけど、確かに日本人には聞けない質問かもしれない…
でも、すごくみなさんリラックスした状態で答えてくれていたような気がする。
なぜだろう、監督の人柄もあるのかもしれないし、若い女性だから構えることがなかったのかもしれないし、この監督の伯父さんが特攻隊員だったからかもしれない。
でも、私の周りに元特攻隊の方がいないので、映画とはいえこれだけ生の声を聴けたのは貴重でした。
特攻隊のことをまったく知らない人が観ても、分かってもらえそうなドキュメンタリーだと思う。
「死にたくはなかったよ、生きたかったよ。でも、これで日本人が幸せになれるのなら、っていう想いがあった」っていう言葉が胸に響きました。
もちろん、納得いかない・なぜ?って思う人も当然たくさんいただろうし、そりゃもう今の私たちには想像しえない、葛藤とか苦しみがあったに違いない。
でも、家族や愛する人たちをアメリカに渡したくない、自分がそれを食い止められるなら…という強い想いがあった人もいただろう。
「ラストサムライ」の、最後のシーンをすごく思い出し、涙が止まらなかった。
特攻隊の人たちが、あの映画の追い詰められた侍たちに重なって見えた。
元米軍の兵士が、「あれぐらいのこと、アメリカだって追い詰められたらやれるさ」って言ってたけど、それは無理だろうと思った。
生の元特攻隊員の声を聞こう
★★★★★
元特攻隊員へのインタビューが多く当時の彼らの心境を知る上で貴重な映画であることは間違いない。
特攻により撃沈された米駆逐艦の生存者が来日して元特攻隊員と会い、靖国、知覧などに行くオプション映像もあるので非常に興味深い。
外国人が作ったにしてはとても良くできている。アメリカ育ちの監督のリサ・モリモトさんが特攻隊員の亡き叔父に興味をもって・・というところから始まるのだが、正直映画のスタイルは監督よりもプロデューサーのリンダ・ホーグランド(アメリカ人というか白人だが日本育ちで通訳をしている)の影響が大きいのではないかと思う。リンダさんはコメント中で「内容が特攻隊員の方々に失礼があってはならない」と言っていたが映画にはその姿勢が反映されていると感じた。
やっぱりアメリカ映画。
★★★☆☆
なぜだろう。
あんまり印象が残ってない。
元特攻隊員が「死にたくはなかったよ」と証言するのは確かに珍しいと思うのだけど、それは充分に想像の範囲内のことであって、「あぁやっぱり」しか感想は浮かばない。
国や天皇のために死んでいった特攻隊員なんてほとんど居ないことは、もう周知の事実。
家族や近しい人のため、そして運命を共にする仲間のために彼らの多くは自らの命を敵艦に激突させた。
それを今さら声高に言われても、「あぁやっぱり」以外に思いようがない。
どうせなら軍や政府の上層部の立場から「特攻という作戦が実行された経緯」を調べて欲しかった。
逆に、これを日本人以外が観て、「カミカゼ」のことを理解できる人は居るんだろうか。
恐らく一人も居ないだろう。
同じ日本人である僕が、実際の感覚としてほとんど理解できないのだから。
元米軍の男性が、「もしアメリカも同じ状況なら、同じことをやっていた」というようなことを証言していた。
しかし、僕にはリップサービスにしか見えない。
「自ら死を選択することを強制される」という非合理極まりない命令を下された人間の心情をほんの少しでも理解しているなら、そんな証言はできないはずだ。
「まぁアメリカが日本に負けるわけは無かったけどね」と付け加える姿が想像される。
まるで「特攻は特別なことじゃなく、自分たちもその心情を理解している」と言いたげだが、むしろその反対であることを露呈したんじゃないかと思う。
(そういう意味では、一応ドキュメンタリー)
http://review.btmup.com/movie/tokko-risa-morimoto.html