今日われ生きてあり
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YouTubeで惜別の歌【穴沢利夫追悼FLASH】を見て購入致しました。恋人への手紙で有名な穴沢利夫大尉は恋人を残し25歳で戦死されましたが、多くの人々の尊い犠牲の上に今の日本は存在していることを決して忘れてはいけない、後世に語り継いでいかなくてはけないと思います。
強くて美し過ぎる、悲しい言葉に涙が止まらない。
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TVで、感動する本として紹介されていたので購入したのが5年前でした。
ちょうどその頃から、特攻隊に関心を持ち始めていました。
遺書や手紙や日記を主に短編のように、特攻隊だった方や、それにからむ、様々な人たちの話を紹介している作品です。
家族のいる前ではとても読めません。1話読むごとに号泣してしまいます。
私は寝る前に自室で読みましたが、1話読み終えると枕がびっしょり濡れてしまい、
その後しばらくいろいろ考えてしまい、1回に1話読むのが限界でした。
5年経ち、通して読んでみましたが、強烈に心に残ったお話が2話ありました。
1つは、まだ結婚して半年で、出撃せねばならなかった特攻隊のご主人と奥様のお話…。
出撃前に、1泊だけ夫婦で旅館に泊まり、指宿街道でつかの間の夫婦水入らずの時間を過ごすお二人。
ご主人は、怒ったような顔をして、奥様の手をつかんで、つかつかと大股で歩き出してしまいます。
まだ新婚なのに、死にに行かなければならないかなしい現実に、ご主人は怒っていたのだろうと奥様が書いています。
雑貨屋さんで目にとまった赤い革の手帳を、奥様がご主人に最後のプレゼントとして買ってあげます。
その手帳に、ご主人は最後の時まで日記を書くことにしました。
2人でお弁当を食べて、たくさん咲いていた、赤い海紅豆の花をとり、ご主人が奥様の髪にさしてあげたり…
本当に、ごくごく普通の、新婚夫婦の幸せな時間に見えます。
普通の夫婦と違うのは、あと数日で、もう2度と会えなくなるというかなしい事実…。
戦後32年経ち、海に沈まれたはずのご主人の特攻機の破片と、その手帳が見つかり、アメリカ人の方から、奥様の元に届けられます。奥様からアメリカ人の方へのお礼の手紙に始まり、亡きご主人に宛てた手紙でこのお話が成り立っています。
亡きご主人への、いまだまったく薄れることのない深い愛情と、ご主人が亡くなった後すぐ生まれたお子様と、その名付けにまつわるお話にとても胸を打たれました。
もう1話は、父親を既に亡くし、母親も戦時中に病気で亡くなり、まだ10歳の幼い妹を残して出撃しなければならなかった、若い特攻隊員の話。
最後まで、一人残される幼い妹の身を案じながら、手紙を書きます…。
妹の名前で預けてある通帳のこと、自分の遺品(軍刀や時計)を送るから、売ってお金に変えなさい、自分のかたみなどより、今後の自分の人生の方が大事なのだから、と…
そして、妹にもらったマスコット人形をいつも身に着けていたそうですが、他の方はみな、落下傘の帯や、腰などに着けるのに、その方は、「突入の時にお人形が怖がったらかわいそうだから」と、背中に着けていたそうです…
自分だって、きっととても怖かっただろうに… 妹を残していかなければならないのは、とても苦しかっただろうに…
それでも、愛する祖国のために、行かなければならないという強い責任感を持っていたのでしょう。
TVなどでも取り上げられることの多い、穴澤利夫少尉のお話も載っています。
穴澤少尉の、婚約者智恵子さんに宛てた遺書は、言葉はとても少ないですが、痛いほど気持ちが伝わってきます。
日記や、短歌も多く書いてありますが、文才のある方で、文章がとても美しいです。
今度生まれ変わったら、今度こそお二人が幸せになることを祈らずにはいられません。
こんなに強く美しいこころを持った方々をたくさん失わなければならなかったことが残念です。
同時に、この方々が命を賭して守ろうとした、今の平和な日本に生きる者たちとして、しなければならないことは何だろうと、考えずにはいられません。
著者があとがきにも、若い人には理解してもらえないのではないかと書いてありますが、
20代の私でも、感情移入し過ぎてしまうくらいでした。
感動はもちろん、大きな衝撃も受ける本でしたが、必ず得るものがたくさんあると思います。
ぜひ、20代の若い方がたにこそ、読んでもらいたい作品です。
今日生きている我々が特攻について知る意味とは
★★★☆☆
本書は、本土最南端の陸軍特攻基地知覧から特攻していった若き特攻隊員について、彼らが残した最後の手紙や関係者の証言から記述したものである。
巻末の解説のように、国のため、愛する家族のため、自らの将来を犠牲にして散華していった若き特攻隊員のことを思い涙し、その一方現代の若者による自己中心的な言動に、暗然とする気持ちにはなれなかった。
それよりも、もし自分が特攻隊員と同じ時代に生きていたら、特攻しなければならなかったかもしれないと思うと、今日生きている我々は、より一日一日を、誠実に、一生懸命に、生きるべきだと感じた。
特攻について知る意味について、考えさせられた著作であった。
感謝と反省が消えた現在の日本
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現在の小中学校に道徳の時間があるのかどうかは知らないが、こういった大切な本を読む機会はあって当たり前ではないだろうか。今、日本人の半数くらいからは感謝や反省といった気持ちが完全に消え去った。自分だけが得をすればそれでいいという怪物が増えた。他者への配慮も思いやりもない、「心」がないのである。後に残ったのは奪い合いのなすり合い、足の引っ張り合いだけである。
私は今年の四月、三十半ばにして靖国を訪れた。桜がとても綺麗だった。今日も我々が(一応は)独立国家に住んでご飯を食べられるのは、過去に命を犠牲にしなければならなかった人々のおかげだと思った。当時、人の命を弾代わりにしたお偉いさんの多くは言い逃れをしたのかどうしたのか、戦後ものうのうと生き延びて、家族を持ち、平和に暮らしましたとさ・・・庶民を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。そうした流れはこんにちも全く変わっていない。
親、兄弟、子供、婚約者、恋人等、家族を守りたい一心で死地に赴く以上の自己犠牲はない。それは戦争に巻き込まれたどの国も同じだったと思う。あまりにも重い事実だが、知らなければならない事実でもある。忘れればまた同じことを繰り返すのが人間だから。
決して風化させてはいけない事実
★★★★☆
この本は、父、母、家族、恋人たちのために自らの命を捧げたその特攻少年飛行兵たちの最期の姿を、彼らが残した純粋無垢な手紙、日記、遺書、関係者の回想をもとに綴ったものである。二度と生きて戻れないことを覚悟し、「行ってきます」ではなく、「行きます」と言い残し飛び立っていった少年飛行兵たちの心情がひしひしと伝わってくる。
鹿児島県の薩摩半島に開聞岳という山がある。そのふもとに、最後の特攻隊が飛び立って行った知覧基地があった。小泉純一郎首相はこの知覧にある特攻資料館を訪れた際、お国のために死んでいった若い飛行兵たちの心情を思いやり、感極まって涙したと聞く。小泉首相が流した涙と、この本を読んで流す涙はまったく同じものであろう。戦争の悲惨さを生々しく伝える名著の一冊だと思う。