情報を扱う商売
★★★★☆
「通販生活」の書評欄で見つけて買ってきた1冊。
公判中の元外務省事務官がお勧めになっていた本です。
推薦のご本人は赤い帝国にご在勤のころ、この本にでてくるような話の目にあったと話してござったがさて……。
要はスパイとは目立たないことであり、目立つことであり、贈収賄もあり……。
何かスパイと記者とは紙一重の差しかないような気分になりますな。
もちろん、記者が非合法な方法で情報を入手すればそれは世間の指弾を浴びるのは間違いないのですけど、情報という無体物を扱う商売というのはこういう色合いを帯びてしまうのかもしれません。
で、思ったのは、競馬記者の逸話。競馬記者で蔵が建った例はない、競馬の本を書くのが一番儲かる道である、という話を聞いたことがありますけど、スパイもこういう本を書くのが一番儲かる道なのかもしれません。
逮捕されて、収監されて、釈放後から退役後まで書いているのはほほえましい限りです。
「シャンペン・スパイ」という本も書いているようなので、ツイ読みたくなってしまった。
ちょっと古い本だけど、まだ早川書房なら出しているかな。
ちなみに筆者は1921年生まれ。本邦なら大正10年生まれってことですかね。話とすりゃ、陸軍中野学校の小野田中尉と同世代、みたいな感じですかね。
地味でまじめな本です
★★★★☆
この本の著者はイスラエルのスパイとして70年代に活躍しましたが、活動していたエジプトで摘発されて短期ながら獄中生活を送ります。そうした人物がスパイを志す人物向けに書いたような体裁の内容ですが、当然ながら仕事の個別のエピソードはあまりなく、スパイ小説のようなわくわく感はほとんど全く得られません。舞台が中東で時代もだいぶ以前のことなので現在のこの業界の実態とはかなり異なる部分も多くあると思います。
ただ報酬のことや読者のスパイとしての適性判断など興味深い内容がいろいろあって、軽い読み物として悪くないと思います。スパイが敵側につかまったような場合にしばしば拷問が行われますが、私がもっとも印象深かったのは、プロでも拷問されたら口を割らずにいるのは無理だと認識されているということでした。なので著者は拷問されそうになったらすぐに口を割ることを勧めているのが笑えました。そのアドバイスが役に立つような事態に陥ることなど想像したくありませんけど・・・
スパイになるには,35歳ぐらいがリミットだそうです
★★★★☆
「イスラエルのモサドで長く諜報部員を務めた著者が,スパイ志望者向けに書いた本」という体裁。
現実性はともかく,読み物としては面白いです。スパイになるための適性テスト,女性との付き合い方,逮捕された時の対処法など盛りだくさん。
スパイになるには,35歳ぐらいがリミットだそうです。
フィクションの世界でなく、ノンフィクションの世界が赤裸々に描かれる
★★★★☆
同書、推奨文にて佐藤優氏が記されている通り、本物のスパイの世界がわかる。
映画やドラマは、完全なるフィクションであることを。
本物のスパイの、危険と泥臭さを。
イコール、
正真正銘のスパイに憧れる方、
心の底からスパイを目指す方にはお薦め。
人を見抜くということ
★★★★★
これは、相当以前の出版であるが実に痛快な本である。
まず、人の行動動機を冒険、金、理想の三つに分ける。全ての動機はこの三つの中に入る。
結論からいえば、理想主義者は使い物にならない。
なれるとしても密告者程度だ。報酬は涙金。
次のレベルは、敵国籍密告者、これは、業界の賤民である。
二重スパイ、これは手間をかける値打ちがある。金が動機だがその富を楽しむほど長生きした者はほとんどいない。あっても世界中に安全と思える場所がない。
駐在工作員、この業界の貴族である。
べからず集。
.時間通りに行くべし(一時間前でなく)
.礼儀正しく、しかし決してへつらうべからず
.挑発には落ち着き、とりみだすべからず
.自慢するべからず
以上、二章迄であるが面白さは保証する。人間に興味がある人は是非。
これから、残りの愉悦に突入するとするか。