音楽の幅が広がった。音楽のメモリー媒体というより、愛玩品、骨董品の域です
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私は別に、政治的な内容のロックは高尚で、いわゆるAORは低級だ、などという狭い了見は持ち合わせていは居ないつもりだ。しかし、素直な耳で聞いて、やはりシカゴは初期のアルバムのほうが面白かったと思う。
ただ、年月を置いて改めて最初から聞きなおしてみると、二作目から既に後年のAOR風の萌芽があちこちに見て取れる。別に、ある日を境に急激に政治からメロウへ鞍替えしたわけではなく、内的な必然を伴った変化であったことが理解できる。
デビュー以来、三枚連続の二枚組LPとなった本作では、音楽性の幅が広がった分、さらにAOR的な要素が多いと思う。
昔は、このあとのライブ・アルバムで太い境界線が引かれている、と考えていたが、今では、ファーストとセカンドの間にも薄い境界線がひかれているのが見えるようだ。
全体的に、「優しさ」が増し、パラダイザーのフルートやセテラのベース・ラインが印象的な曲が目に付く。
それにしても、彼らの初期の爆発的な想像力には恐れ入る。
当時ダブル・アルバムを製作するのが一種の流行とはいえ、よく観察してみると、ライブ・テイクを混ぜたり、「メインストリートのならず者」みたいに完全なる水増し作品があったりするが、シカゴの場合は話題づくりのために無理やり製作したというより、メンバーたちのパワーの必然としてそうなったと実感できる。
やはり、メンバー内に数名のソングライターとリードヴォーカリストが居たことの強みか...
...で、今回の紙ジャケSHM−CD仕様の本アイテムであるが、まさに、メイド・イン・ジャパン!ともいうべき凝った造り。監修者の装丁に特化した解説、というのも珍しい。まあ、それだけ力瘤がはいっているということだろうが。
どのアーティストもそうだが、監修者が深い愛情を持っていると、リイシュー企画はだいたい成功する。
ただ、純粋に音楽を聴く、という目的に絞って考えれば、困っている昔からのファンも多いだろう。
基本的に追加曲がなく、マスターも2002年の拡張版時のままなので、その時のプラケース盤を既にお持ちの方は、ただ紙ジャケだけのために、本アイテムに乗り換えるべきかどうか、迷うところだろう。
ただ、90年代にまだソニーと契約していたときに出されたプラケース盤しかお持ちで無い方は、音も迫力が増しているので、買い替え検討の余地はありそうだ。
伊藤秀世の魂のこもったこだわり(ヴァージョン違いを追記 10 2/2)
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音源は2002‾3年のリマスターのもので、その辺は詳しい人に解説を委ねます。
通常のジュエルケース盤が最近あまり市場に出回っていないことと、80'sのCDの紙ジャケを購入し始めてことがきっかけで購入しました。なんか凄いこだわりの塊のような商品です。
ジャケット(A式見開き)のカンパニー・ロゴ等は権利の関係で使用できないCOLOMBIA(CBS)のマークの部分にRHINOをあてがったりしています。
「シカゴIII」の凄いところはジャケット中面の他人の詩を掲載した際の使用許諾の記入洩れを初版の通りにステッカー(約5mm×20mm)で追加修正してあることです。
赤色地に橙色のロゴのコロンビアレーベルもRHINOで代用したりしています。インナー・スリーヴ(歌詞を掲載)も他の紙ジャケではおまけとして封入されているだけの物が多い中、キチンとCDが納められるサイズに作られていてLP2枚分入っています。
日本盤の特徴の帯も再現されているのも凄いですが、US盤のシュリンクの上に貼られるステッカーも(貼らずに)2種類封入というこだわりは凄すぎです。
ポスターも付いてます。オールドファンは絶対に買いです。
ビートルズのモノボックスに日本製の紙ジャケが採用されるのも納得の出来です。
組曲になっていて曲間が詰まっている為なのか、前の曲Motorboat to Marsの最後のドラムの音が少し残っているところにFreeの頭出しが設定されているが、 <国内テイチク盤The Heart of‾1967‾81(廃盤)>ではきれいに始まっている。