キーポイントは可視化
★★★★★
光学顕微鏡の時代から、電子顕微鏡の時代へと変わる中で、細胞の微細構造が次々と解明されていくのが前半。ところが真空中で死細胞の切片を扱わなくてはならない電子顕微鏡の欠点を、特殊な疾患や細胞、下村博士のノーベル賞となったGFPなど、「可視化」のための様々なブレイクスルーが紹介されています。そしてそのブレイクスルーによって細胞のどのような構造や機能が明らかにされていきます。
機械や手法の革新とともに、タイトル通り、細胞発見の物語が展開され、読後は賢くなったように感じさせてくれる本です。
オムニバスに構成する細胞研究史
★★★★☆
本書の著者・山科正平氏は北里大学の名誉教授で細胞生物学が専門であるが、同時に電子顕微鏡の権威でもある。本書で山科氏は、書名にも「物語」と付しているように、細胞生物学についての気軽に読める構成の本を考えた。
戦後、世界をリードしたわが国の電子顕微鏡開発、細胞の「死」であるネクローシスといわばプログラムされた死のアポトーシス、世界で初めてヒトの培養細胞となった細胞が実は女性のガン細胞だったことやiPS細胞の発見競争のことなど、いずれもとても興味深い内容で全体をまとめている。
目次だてもとっつきやすいようにオムニバスにして、各章完結型にして読みやすく工夫されている。そのため、どこからでも読み始められるのだが、そこはブルーバックスで中味は充実している。ただ、網羅的に記述している内容ではなく、一般の読者を意識して話題を振りやすい記事に限っているため、「物語」というより専門家による「夜話」といった本となっている。まだまだ話題は尽きないだろうから、続編も期待したいところだ。
歴史を辿って今に。
★★★☆☆
細胞の発見者をめぐる話に始まり、順を追って現在の最先端の研究までを淀みなく書かれてあります。下村修・博士によるGPFの発見や、中山伸弥・教授が挑んでいるiPS細胞にまで話は至ります。
先の方々のレビューにも書かれている通り、時にウイットに富んだ表現もあり著者の細胞に対する暖かい眼差しを感じる。
社会的な問題や政治的な影響、倫理的テーゼを内包した話とも解釈できる章もある。
洗練された文章で、本当に読みやすい。あまりにサラリと読めてしまったので‘☆☆☆’…とは理不尽ですよね。すいません。
構成がうまい
★★★★★
日本がリードしてきた電子顕微鏡の
歴史に始まり、細胞内器官の話から
いろいろな細胞の話へと展開します。
構成がうまいので知らずに引き込まれ、
読み終わってしまいます。
有名なHELA細胞の由来などとても
面白かったです。
あっという間に読んでしまった。
★★★★★
面白かったです。
特に、アポトーシスの記述が非常に良かったです。
細胞内に家庭の事情が現れた時に、自殺(アポトーシス)をする。
不良息子(タンパク質の不良品)ができ、その矯正ができないと、自殺をする。
家庭内の不和(DNAの損傷)が起きた時に、嫌気がさした間借り人(ミトコンドリア)が暴走して、家屋(細胞)をぶっ壊す。
笑いました。良い例えです。