極上のリネンに包まれる感じ。
★★★★★
このアルバムの完成度はどんでもない。
1曲1曲のキャラクターがはっきりしながら、
アルバム全体を通して伝わってくる強さ、温かさ、切なさ、柔らかさ。
畠山さん自身の魅力(歌唱力、作曲力)も素晴らしいが、
このアルバムの良さを語る上で、秋田慎治氏、斉藤哲也氏の存在は非常に大きい。
それぞれのアレンジが、楽器の数を多くせず、楽器一つ一つの魅力を存分に引き出しながら
畠山さんの声にソフトにからんでいく、生感の強い仕上がりを心がけおり、
アルバムの象徴的イメージと思える「切なさを含んだぬくもり」は、
この二人がつくり出している。
「愛にメロディ」におけるフェンダーローズや、「若葉の頃や」のおけるハモンドオルガンは、
アルバムの象徴的イメージと思える「切なさを含んだぬくもり」をひしひしと感じる。
「コンドルの影」から「ただ、在るだけ」の、両者叙情的ではありながらも対極的な曲を並べることで、
そこから始まる「空の停車場」までのドラマティックな流れをより強烈に印象づけてくれる。
演奏陣の豪華さもさることながら、
このアルバムがいつまでも新鮮で、懐の深さを感じさせるのは、
やはり、
一人の人間が手がけたかに思える、秋田、斉藤両氏の
「あたたかさ」の意味を追求した音作りであろう。
聴くたびに幸せになれて、強くなれる。
畠山さんファンは必携の一枚でしょう。
「ただ、在るだけ」など彼女の高い音楽性を堪能する一枚
★★★★★
「くちづけ」や「若葉の頃や」など素敵なうたが多いですね。詞の展開や印象的なフレーズが、こえの繊細なタッチにより立ち昇っては風に流れてゆきます。特に「水彩画」は、ちぎれながらかたちを変えてゆく雲のようなことばたちに、転調の度に鮮やかに衣を変えてゆく旋律の色彩が、ぴったりマッチした曲でした。一曲変わる毎に空気もこえの表情も変わります。「星を摘んで帰ろう」が始まるときは、童話のような細部に宿る優しさを大切にする空気感が辺りに敷き詰められ、彼女が声を乗せる瞬間は聴き所ですよ。
アンニュイな「クレマチスよ」はなんだかエコール・ド・パリの絵画に迷い込んだかのよう。一方名前が何か気になっていた「小岩井讃歌」はひとつの宇宙をみているようで不思議な呼吸が息づきます。そこで透明な水を掬いとり零れ落ちるようなメロデイたち。最後に一陣の風が吹き抜けてゆきます。「コンドルの影」の最後の“導いて”の「て」のメゾピアノの美しさは畠山美由紀という歌手の一流さを知る箇所でした。「e」母音が持つ地平に遠ざかってゆくイメージが美しく映えます。続く「ただ、在るだけ」も彼女の実力を知れる凄く難しい楽曲。リストのようなピアノの潤いの中でそよぐこえが、現代音楽的な緊張感を煽る転調で迫力を帯びる様子は芸術的です。また“連れていってあげて”という真空へ空気が流れていってから、優しく降り注ぐ光は非常に美しいです。詞の主題、各楽器の曲想がある高みに達している曲ですね。
「春の気配」「リフレクション」の切なさを聞いていると、詞も声も旋律も彼女のPOPSはPOPSを超えた表現力があると実感します。「空の停車場」は「ある晴れた日に君は似てる」と共になんだか綺麗な日本映画のエンドロールに似合いそうでした。
こえや歌の素敵さは自明のものとして、そのしなやかさの奥に伸びる音楽性の素晴らしさに惚れ惚れした作品です。
充実
★★★★★
文句なしに最高傑作でしょう。歌の良さはもちろん、楽曲の安定感が際立っています。前作までは曲の差がややありましたね。先行シングルとしてなぜ2をチョイスしたのかが不思議に思われるくらいです。楽曲提供者もそうそうたる面子です。もちろん自作もあります。そうした曲達が極自然に流れていきます。この凛としたたたずまいと男っぷりは歌手として際立っていますねえ。姉御ではないけど嬢といったところです。TV露出はほとんどありませんが今後も期待していますよ。
ある意味ソウルアルバムです
★★★★★
その歌唱力だけでもCDを購入する価値のある希有なアーティスト、畠山さんの待望のサードアルバム。
ファーストは初々しさとport of nortsの影響を感じさせる創り、セカンドは一転して思いの伝わるヴォーカルアルバムでしたが、今作はセカンドの延長線上、というか、彼女のソロアーティストとしての方向性が決まった事を感じさせる、そんな作品です。
個性的な作曲陣を迎えた一枚という事もセールスポイントになっていますが、印象的なのはやはり声。
どの曲も彼女が歌うとまるでスタンダードナンバーのよう。
収録曲も素晴らしいものばかりです。
おすすめは彼女のペンによる楽曲。個人的には3がベストトラックです。
個人的には、夢のはかなさに時間が経つのが惜しい気持ち、そんな感情にも似た気持ちが心に過る作品でした。
荒んだ心の清涼剤に
★★★★★
畠山美由紀を少しでも「イイな」と思った事がある人なら、間違いなく買いだ
Port of Notesの時よりもしっとりと歌い上げている印章。
作品全体に漂う包み込むような緩やかな空気感は、
聞く人の心を落ち着かせて、優しい気持ちにしてくれる。
その空気感はDVD収録のPVにもよく現れていると思う。
穏やかで優しく楽曲の数々は、万人の音楽的趣向を超越して、全ての人の心を打つはず。
綺麗に晴れた休日の午後、読書しながら聞きたいね!
きっと、何時の間にか居眠りしてしまうだろうなぁ。
気持ち良さそう。