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異形の王権 (平凡社ライブラリー)

価格: ¥1,027
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: 平凡社
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後醍醐天皇は政治の実権を握った唯一の天皇 ★★★★☆
存在が確認されている天皇の中で、後醍醐天皇は政治の実権を握った唯一の天皇であろう。
他の天王はその地位にありながらも、後見がいたり実権を握るものに利用される存在だった。

その後醍醐天皇を著者は、あらゆる権力を握った「ヒトラーのような天皇」と表現する。
しかし、再び幕府に打ち負かされ、南北朝時代の始まりをつくって王権の弱体化の初めとなる。
そのまわいには異類異形のものが集まり、新しい力となっていたのである。

他に『絵巻物を読む」章もあり、こちらでも異類異形の人々を読み解く。
後醍醐天皇と魑魅魍魎の人々 ★★★★★
網野史学の中で、中世期の絵画より彼らの衣装ならぬ“異装”より、異形と言われた人々の生活より、中世期に於ける“バサラ”を描く。特に後醍醐天皇を中心とする魑魅魍魎とした人達による王政復古の戦いや、バサラ達の生活様式に至る中世期を強かに生き抜く人達。彼ら異形の様式が、如何に蔑まされていくのか。それは宮崎映画「もののけ姫」に出てくる異形の人達のようが目に浮かぶ如く。その上で、力をつけてきた異形の庶民達が、時代が経つにつれてその力強さが喪失していく。権力に支配されていく様子は、中世期庶民の限界を表すのだろうか。
後醍醐天皇の特異性は、諸処言われているが怪僧文観による立川真言などのカルト教義の祈祷など、魑魅魍魎の世界観について網野史観の解釈は重要であろう。
「異形」の歴史 ★★★★☆
本書のキーワードの一つが「異形」である。
異形という言葉から何を連想するか。例えば普通と異なる、と言ったことであるが、普通では
計りえない逸脱を描いた歴史であると言える。
この異形という言葉は現代では賎視を持っていると思われるが、中世では限られたもののみに
許された特権であったのである。そうしたものが朝廷に入るとどうなるか。
後醍醐をそうした「異形の王権」として浮かび上がらせた。
特権が特権として機能したのは後醍醐の時代までであるとも網野氏は説く。
この後醍醐の政治等々が果たして王権と表現するのが良いのか、疑問は残るが、
この書は後醍醐という歴史のタブーを破った意味で大きい。
また「異形の力」については、『蒙古襲来』と重なる飛礫も挙がっている。
これについては省く。
絵画資料が多い ★★★★☆
先日この本の著者がお亡くなりになられた。
優れた歴史学者であり、彼の研究には目を見張るものがあった。
それはこの本の内容のように絵画資料を多く取り入れたものなどである。
一読の価値はあります。
面白い歴史学の本です。
「日本人」の「聖」イメージを探る、興味深いアプローチ ★★★★☆
 鎌倉時代末期に登場し、それまでの天皇に対するイメージを打ち破り、自ら幕府打倒のための呪詛を行うなど「異形」の天皇である後醍醐天皇。彼が歴史的に持つ意味を、非人と呼ばれた人々の存在と絡ませながら描いた力作。

 江戸時代以降「非人」などと呼ばれて差別の対象とされてきた人々は、古代にあっては人と異界の狭間に暮らす「人ならぬ存在」すなわち「聖なる存在」であったと著者は喝破します。農業以外の生業に携わり、特殊な技能によって社会に関わった彼らは、天皇直属の隷属民であり、その他の人々とは異なる存在と観念されつつもけして差別される者ではありませんでした。そして彼らの柿色の衣装をまとい、頭を布で覆うという出で立ちは、「異形」と呼ばれ、「人ならぬ者」の象徴と考えられていました。そして「非人」とされる人々以外でも、時に応じてこのような姿になることで自ら非日常の世界に入り込もうとする態度が見られたことが文字史料や絵画資料をもとに論証されています。

 ところが鎌倉時代後期からこのような様相は変化をはじめ、「非人」たちは差別・侮蔑の対象へと貶められるようになります。この本では仮説として示唆されるだけですが、「非人」たちを自ら権力基盤として積極的に利用しようとした後醍醐王権のあり方が一つの画期になったのではないか、と著者は提起しています。

 民俗学と歴史学の強調、絵画資料の利用などを積極的に進めようとする著者の態度はこれから歴史学が模索すべき道の一つを示しています。また、現在も生々しい差別が残る問題ではありますが、このような問題関心は我々の聖性に対するイメージの変遷を浮き彫りにするよすがになるのではないでしょうか。著者の論証は(飛礫の問題など)まだ一部思弁的でこなれていないところもありますが。
 なお、冒頭から読むより、まず最後の「異形の王権」を読んで、しかる後に冒頭に戻って読む、という進め方の方が理解が早いかも知れません。