著者に乗せられた感もあるが、
★★★★★
帯には、
『カリフォルニアワインを日本に広めた男、中川一三が明かす「ワインと私の真実」』とある。
やっぱり、アルコール飲料というのは飲むだけじゃない、その裏のストーリーを知ってこそ、美味さも倍増と、私は思っている。
雑誌に掲載された記事を集めたもので、中川氏とワインとの関わりが書かれてある。 何しろ10万本の銘醸ワインを飲み尽くした男(と書いてある)が語るワイン物語ですから、ご意見は拝聴する価値がある。
その中川氏が、現在最も好きで、世界的にも最高と評価できるワインは、カリフォルニア産のピノノワールらしい(ご商売ですから、ポジショントークということを割り引いて考えなくてはいけませんが)
当方も1990年代後半に、カリフォルニアの赤ワインに魅せられた男でもあるので、この本で紹介されているワインはすべて飲んでみたい(まさしく、中川氏に乗せられた感もあるが)
これほど魅せられたそれが商売にできるなら、それはそれで素晴らしい!と思った。
魚には水、私にはワイン―Pisces Natare Oportet.
カルト・ワインの贅沢な誘惑
★★★★☆
ワイン輸入販売業を長年に渡り営んできた中川一三氏が自らの体験を交えて綴るカリフォルニア・ワインの書。
中川氏は一人でワインを飲むことはなく、常に自宅のワインセラーに友人・知人を招いて「ワイン会」を開催するのだそうです。その頻度は週に4〜5回だそうだが、まあなんとも優雅なことだ。
本書では一本数十万円から数百万円もするような「カルト・ワイン」について蘊蓄が語られているのだが、正直言ってそれらのワインのことは「すごいだろうなあ」ぐらいしか分からず、だが、ワインの産地で今どのようなことが起こっているかということに関する解説などはとても興味深い。
地球温暖化の影響でフランスのブルゴーニュ地方ではワインが採れなくなりつつあり、しかもフランスは政府による規制が厳しく科学的改善法が採れないため、大金持ちやマニアに人気のカルト・ワインはどんどんカリフォルニアにシフトしているのだそうだ。
本書で熱く語られているカリフォルニアのカルト・ワインにはとても手がでないけれども、今度のお給料日になったら、いつもよりちょっと高めの、そうだな、一本3,000円ぐらいのカリフォルニアの赤ワインを買って、久し振りにデキャンティングでもして飲んでみようかという気にさせられてしまった。
ワインにはまったらとても危険だろうなあと思いつつも、ちょっと憧れてしまう、そんな本である。