嵐の前の・・・
★★★★★
会社員×記憶を無くした男
気性が荒く乱暴者。記憶喪失後は明るく淋しがりやな青年。攻・透
穏やかで言葉も少ない。臆病で異常に照れ屋。受・藤島
病室で目覚めた透は記憶を失っていた・・・
退院後は、透の元へ足げく通ってくれていた自称"友達"の藤島の家で世話になることに。
真っ白な頭の中をいくら探っても何も出てこない不安と戸惑いと焦り。
もっと色々知りたいのに何も話してくれない藤島。
けれど、一緒に暮らすうちに、藤島の側に安らぎを感じるようになり、心が動いてく。
そんな時に起こった事件。そして、知ってしまった真実・・・
当時の藤島のとった行動に、なぜ?どうして?と次から次に疑問符が浮かびます。
真相はまだまだわかりません。
ただ、この時の二人は心が向かい合っていて、穏やかで幸せな時間が垣間見える。
もう一つのカプ。公務員・黒川×カメラマン・谷口
高校の同窓会で再会し、黒川が酔った勢いで告白したことで二人の関係が変化していく。
臆病な黒川と、ポジティブな谷口。
心を閉ざし気味の黒川に新しい風を入れた谷口。
このカプはメインカプとリンクするのですが、この作品ではまだ・・・ですね。
2、3作目は木原音瀬さんらしく、辛くて痛い話に突入します。まだこれからです。
一本! って感じです。
★★★★★
記憶喪失という「お題」で1枚のカードの表と裏と、さらにカードを内側から切り開いて「中」まで「展開」した「なるほど一本!」な名作だと思いました。
ただひとつ、惜しいなー、と思うのは、高久透のグレっぷりが、ありきたり描写かな、と。ガラが悪いのはまあいいとして、もう少し「悲し・痛々しい」、名前の通り透明感のあるグレっぷりであれば、彼の「受」としての魅力は倍増し、作品としても星五つを超える「超名作」になっただろうなーと、個人的にはそう感じました。
目覚め。そして、物語の始まり。
★★★★★
事故が原因で、現在に至る記憶を全て失くした主人公、透。
『友人』だと名乗り、彼の身の回りの世話をする年上の男、藤島。
COLDシリーズ 第1巻である「COLD SLEEP」は、まっさらな透と過去を背負った藤島の、言うなれば…馴れ初め話といったところでしょうか。
シリーズの構成的には、
1巻+2巻=3巻。
三冊揃ってこその物語ですので、全巻入手されてからの一気読みをお勧めします。
無口で無表情で無愛想で、透より6つ年上の藤島。
何を考えているか分からない、そして何かを隠している。
けれど、不器用な程に優しい人。
その優しさを初めて描写する、冒頭の何気なく書かれたシーン。
藤島の性格が現れています。
それまでの記述はここに凝縮されるのか、とハッとさせられました。
そして、透。
しなやかでとても素直で可愛い。
本来育っていたであろう、あるべき姿。
今に至る記憶がなければ、人は道行きも分からず、己の立ち位置に戸惑う。
けれど、その必要であるべき筈の記憶はまた、人を苛む…。
全巻読了後にもう一度この巻を繰り返して読んで見ると、しみじみと“透”と藤島の物語だなぁと感じ、最終巻にある、海での切なすぎるシーンに納得できました。
色々考えさせられる良作です。
是非ご一読下さい。
記憶喪失ものです
★★★★★
交通事故で、自分の名前さえ忘れてしまった高久透は、友達と名乗る藤島に自分自身のことを教えられます。
両親は早くに亡くなり、兄弟もいない天涯孤独の身の上であること。宅配便のドライバーだったけれど、この事故をきっかけに仕事を首になり、住んでいたアパートも家賃滞納で立ち退かなければならなかったこと。
お金もなくて途方に暮れる透に、藤島は退院したらしばらくの間うちで暮らさないかと提案してきます。
安心しながらも、藤島に対して不審も感じる透ですが、一緒に暮らすうちに、不審は募っていきます。
いきなり「ここはどこ?私は誰?」な状態になってしまった透の不安は、読んでいる方にも伝わってきて、この藤島の正体はなんなんだろうと思いながら読んでました。
藤島はやっていることはものすごく親切でありながら、なぜかよそよそしく、透に興味もない写真の専門学校に行くことを勧めてきたり、何か隠していたり、嘘をついていたり。
でもよそよそしい藤島はケーキが好きで、ケーキを食べているときはうれしそうで、透はその顔が見たくて毎日藤島のためにケーキを買ってきます。
ケーキを食べるときは表情が柔らかくなる藤島も、その顔がみたくてケーキを買い続けるうちに、おいしいケーキ屋さんに勤めてケーキを作り始める透も、幸せそうな感じでした。
やがてある事件が起こり、透は自分の起こした事故の真相を知ることになりますが……。
面白かったです。
この巻は木原さん特有の痛さはほとんどありませんでした。
ぐすっ
★★★★★
BLで涙が出たのはコレが初めてです。
2冊までは、甘系のストーリーでしたが3冊目は鬼畜がかなり入っていて声も出ませんでした。
テンポも展開もよく、ぐいぐいとストーリーに引き込まれていきますが、切ない系に耐性がないと、ティッシュ空にしてしまうかもしれません。
ぐすっ。