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東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 平凡社
Amazon.co.jpで確認
これはやりすぎ ★★☆☆☆
 小説やエッセイに、自分と全く異なる価値観を持った人物が登場するとすぐに「こんな人間はいない」と言い出す人がいる。
 もちろん、こんな人間はいないなんてことはない。人間というものはバリエーションに富んでいて、時として、信じられない物にこだわったり、想像もつかないことを言い出したりする。変わった人というものは、確かに存在するのだ。
 だから。言いたくはないのだか。

 こんな奴ぁ、いねえ。

 たいていの人は、自分が理解できる、納得のできる人と、好んでつきあう。だから、特定の人の周りに、特定の傾向の人が集まることはある。たしかに、ある。
 しかし、特定の傾向の人「だけ」が存在するコミュ二ティなんてものはない。
 この日記の登場人物は偏りすぎている。
 しかも、かわいく、無邪気、世間の男性が魅力的だと思う方角にばかり一方的に。
 かつてこういうことを言う女を、世の人は評したのではなかったか、カマトトと。

 小説を構築する手法として蓄積してきた魅力を、そのまま日記に注ぎ込み、しかし日記なのでこれは本当のことですと書いてしまったがゆえに、逆に嘘っぽくなってしまった本。
 雑誌連載だったそうで、分厚い雑誌に数ページ、急にこの浮世離れした架空の日記が挟まるのは、確かに心地良いだろうと思われる。
 けど、さすがに一冊丸ごとだと辛い。

 小説なら良かったんだけどね。
ゆったりたっぷりした読書時間が楽しめます。 ★★★★★
短編小説集【神様】が非常に素晴らしかったので、書いた本人にも興味沸き読んだ一冊。
内容面白いのは勿論の事。感受力桁外れな人だからこそ日々の物音を決して、見逃さず、
聞き漏らさずに書けるのだろうな、と思った。小説もだけど、何て言うのか不思議な手触り。

世界の気配に敏感、繊細。なのに決してシリアスだけにならずユーモラスでチャーミングで。

混んだ電車の中、姿勢よく立ったまま次々と大福をたいらげてゆく【大福おじさん】を見つけ、
おじさんの食べた個数を数えたり。知り合いに会って声掛けたら走って逃げられたので、
ふたたび見つけた時、今度こそ逃げられまいと足音を忍ばせて近づき「わっ」とおどかす。

(あ、あなた子どもじゃないんだから。)やっぱり逃げ出される。
「どうして逃げるのー」叫ぶと「夏の終わりはさみしいですからー」走りながら答えられたり。
あとがきに『五分の四くらいは、ほんとうです』え、日記文学なの!?残り五分の一は何・・・!?

もう一度最初から読み直し楽しみました。
タイトル卵一個ぶんのお祝いエピソードも微笑ましくて素敵です。
ゆったりたっぷりした読書時間楽しめるオススメ本です!!
まるごと愛しい ★★★★★
内容はもとより装丁もたたずまいもすべてがまるごと愛しい本。ほんのちょっとだけ嘘が混じってそうな日記ではあるのだけど、川上弘美の手に掛かるとすべてが「あながちあり得なくないこと」に思えてしまうから不思議だ。
これぞ川上ワールド ★★★★☆
川上さんらしい“ほわーん”とした独特の世界が広がっている。
あとがきに
「本書は、本当日記です。少なくとも、
五分の四くらいは、ほんとうです。」
とあるけれど、本当だろうか?
シュールでくすっと笑ってしまうような
こんな日常を穏やかに過ごしている人もいるんだー。
なんだかほのぼのした気分になります♪

思考にも言葉の選び方にもおかしみを感じ、
日記の文末を飾る一文のシュールさもたまらない!
それらが力の抜けたイラストと最高にマッチしていて、
妙な具合のエッセイでした。
おとなのかわいい ★★★★★
 カワカミさんの、本当なのか本当めいたつくりものなのかつくりものめいた本当なのか、ビミョーな日記。読んでるとちょっとそわそわする。
 たとえば百円ショップに行ってその安さにしんそこ驚き、いろんな形のツボ押し器を三種類買った日。“蛙の形のものを「タツヤ」と名づける。タツヤという名の人に知り合いがいないので。でもちょっと知り合ってみたい名前なので。/夜、タツヤに腰と肩のツボ押しをさせたけど、あまり効かない。”
 たとえば山の上ホテルのバーで大人の女の気分でカクテルを飲んだ日。“カクテルを頼むとき、「ジントニックにします。あ、ちがった、ブラッディメアリーにします。あ、ちがった、ソルティードッグにします。あ、やっぱりブラッディメアリーにします」と言っている自分に気づいて、やっぱり「大人の女」になんかなっていないよな、と反省する。”
 たとえば雨の日、友だちに電話すると誰もが留守で“計五人の友だちにかけてみたが、結局誰もいない。さみしくてしばらくぼんやりしてから、思いついて117番にかけてみる。午後三時二十五分三十秒から二十六分三十秒までの、七回ぶんの時報を聞いてから、そうっと受話器を戻す。”
 こういうのを読むと、ああーっ自分もブログとかで書いてみたいっと、つい思っちゃう。だめだめ。カワカミさんだからいいのよ。
 ちなみにこの本はほのぼのかわいいイラストが女心をくすぐるんだけど、初出は「東京人」。おおむねカワカミさんより年上の男性がもとともとの読者層(と思われる)。うーん、なるほどね。おじさんも「大人の女」のひとも「かわいい!」と唸らせるワザはなかなか。