感性や感覚だけで書かれたエッセイではないのは確か。(エッセイってどうも感覚だけ、っていうの、多いんですよね)五感だけじゃなくて脳みそも使いつつ、考えつつ、でも感覚も使ってる。それは、狙ったような、異次元的不思議世界。川上さん、書いてるの楽しんでるな、と思わせる書き方。人を喰ったような面白いエッセイです。
確かに理系人間的発想といえばそうかも。でも大丈夫、もろ文系人間の私でもはまりましたから。
最初はなかなか頭がエッセイ用に働かず、苦労した。慣れてくると、けっこう楽しめた。この人の「エッセイ」には明白な「うそ話」が含まれているので、本当らしく書かれている文章も、どこまで本当なのかよくわからない。ともあれ発想の仕方が理系的なオカシサに満ちていて、自分自身理系の人間である私には、この発想法はとても共感できる。この人、ものすごい変わり者だけど、近くにいたらきっと気があっただろうなあ、と考える。そして、こんな変なことを考えながら、日常生活をきちんとこなしているところが、いかにも正しい理系変人である。このあたりが「怪しい」オタクさんたちとの違いである。
文章も上手いが、ウマが合う、という点で高得点。したがって、星5つは私の個人的感懐であり、性格が合わなければ読みづらいこともあるだろう。