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KATANA カタナ

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで確認
虚構とリアリティの絡ませ方が絶妙 ★★★★☆
作品は、近未来を舞台にしていて、新エネルギーの開発により貧富の差がなく、テロや戦争が激減している。
この前提があってのKATANAというタイトルのお話になっているので、少し考えれば、リアリティがその部分にないことに気付く。人間と武器、アメリカ人と銃、日本人と戦争みたいなテーマを掘り下げているわけでもないので、これまでの作者の作品のそういう骨太さが好きな読者には、食い足りないかもしれない。

しかし、本作品が絵空事に終わっていないのは、米国の政府組織や軍事請負会社を極めてリアルに描いているリサーチとその結果の活かし方という、作者のこれまでと変わらぬ圧倒的な能力があるからだと思う。
リアリティのない人物や展開で台無しな現実をテーマにした凡百のサスペンスとは全く逆の世界がここにあるわけです。

あと、リサーチャーのネエチャンと政府機関派遣組のオッサンが、全くスーパーでない人間らしさの中で、活躍と偶然からストーリーを回していくところは面白かったです。スーパーマンが出てくるだけで、この手の作品は3割方価値が下がりますから。

気負わず読めるのにだんだんと作品に引き込まれる近未来サスペンスって、ありそうでなかったものですよ。
アメリカ銃規制ネタを日本人を絡めてうまく料理しています ★★★★☆
服部真澄氏の作品は始めて読みました。伊藤劃画氏の一連の作品を読んで「民間軍事コングロマリット」というキーワードで本作品に行き当たりました。セカンド・ジェネレーション銃をめぐる政府情報機関、解散した民間軍事機関の元軍人たちの暗躍を、元民間軍事機関の情報員で、現在フリーランスで情報活動をしている兵藤理人と、日本の国営放送局の海外ドキュメンタリーの、現地での情報収集と取材のコーディネートを仕事とする黒崎ケイを主体に物語が展開していきます。

次世代の銃が近未来での銃規制をどう変貌させるのかというのがメインテーマとなりますが、ともすれば暗くなりがちな展開ですが、兵藤理人のキャラクターが全体の雰囲気をソフトにすることに成功しています。元情報員というとハードボイルド・キャラを思い浮かべますが、兵藤は色白ポチャリ顔で、ボストン眼鏡と真逆のキャラ設定になっています。発言もことごとくゆるく笑いを誘います。

もう一人の日本人黒崎ケイの番組リサーチャーという職業は読んでいると小説の編集者を思わせます。表には出ず作家を支えて小説の時代背景、資料集め、現実味のあるディテールは彼らに支えられているように思います。本作にも編集者の細かな仕事の跡が随所に感じられました。きっと優秀な編集者がついていたんだろうなと思いました。

ストーリーの展開にはあえて触れませんでしたが、テーマ、展開、オチと納得のいく内容でしたので手にとってみる価値はあると思います。
肯定的な近未来 ★★★★☆
やっと出た新作である。毎回、その取材力に驚かされているが、今回も興味深い題材である。
「非殺傷タイプ銃」が、なぜKATANAなのか?日本人なら誰でも当たり前の事実がアメリカに行くと、こんな解釈なのかぁ・・と最後まで面白く読めた。
龍の契りや鷲の驕りのようなセンセーショナルな雰囲気は少ないかも知れない。しかし、最近の著者の作品は、意識的に未来を肯定しようとしているのが感じられる。誰だって、明るい未来の方がいいのだ。今回の作品も、著者からの提言(メッセージ)のように思えてしまうである
読者を惹きつける世界観 ★★★★★
第18回吉川英治文学新人賞を受賞された著者の最新作。

この本で著者、服部真澄さんを知ったので他の作品とは比較

できないけど、着想のユニークさ、淡々としながらもリアルな人物描写は

圧倒的な世界観で読者を惹きつける。

日本国内ではあり得ない設定だけど、世界が舞台となるとリアルに行われている

ことと感じてしまう。フィクションであると頭の片隅で冷静に感じながらも

どこかで実際に兵頭や黒崎は存在しているのでは?と考えてしまうのは

著者の緻密な文章構成にハマっているからでしょう。


題材は面白いのだが・・・ ★★★☆☆
新たな銃規制の話を、昨今話題の戦争の民間委託の話も絡めて描いたドラマ。記憶を失った主人公と、それを追う政府の関係者達。「人を殺さない銃」の普及を目指す戦略には、大きな裏の目的が!という話。これだけ書くと、エスピオナージ物のジェットコースター小説と思われるが、実際はかなり展開がスローだし、登場人物も意外に個性が薄く感情移入し辛い。「鷲の驕り」の様なサスペンスフルな展開を予想すると、ちょっと裏切られる。確かに、着眼点や銃規制の問題、その解決策等を鋭く突いており、読み堪えはあるのだが、娯楽作としては些か冗長なのかな、と思った。次作は「龍の契り」や「鷲の驕り」の様な、心躍るサスペンスを期待したい。