インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

太平洋――開かれた海の歴史 (集英社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
Amazon.co.jpで確認
著者の冷静な視点に感銘 ★★★★★
太平洋の歴史、という視点は今まであまり持ったことがなかったために、非常に新鮮だ。
さらには、大航海時代や古代インカ史研究などで知られる増田氏の著作。
期待しないわけにはいかない。

本書は太平洋の土着民の歴史というよりも、ヨーロッパ人がどう太平洋とかかわったか、あるいは、どう太平洋を荒らしまわったかを描く一冊となっている。
だが、単に太平洋各民族を被害者とするわけではなく、彼らがしたたかにその影響を受け止め、自分の権力の増大に使ったことなども描かれている。
こういった視点は、氏のインカ史における著作などにも見られるが、歴史を冷静に、公平に捉えようとする氏の視点からは、いつも学ばされることが多い。

本書が「太平洋史」としてまとまっているとは言えないが、十分に興味深い一冊だ。
太平洋の歴史は白人達の争いである ★★★★★
現在、我々が学んでいる世界史は西洋すなわち白人が作り上げた歴史である。なぜなら、コロンブスが1492年にアメリカ大陸を発見する前に原住民は既に住んでいたわけであり、オーストラリアやニュージーランドなども皆同様である。そしてそれまで平和に暮らしていた島々の人々に病気、武器などを伝えてしまい、「楽園」であった土地が荒廃してしまう。それが太平洋の歴史なのである。
 すなわち、白人達の覇権争い=太平洋の歴史である。
 他方、興味深いのは、日本はこの太平洋に面していながら全く海に興味を抱かず、常に中国という大陸に眼を向けていたことである。
 本書はこのような様々な要素に触れながら太平洋と言う巨大な海の歴史を語っている。
 是非一度読んでいただきたい本の1つである。
大胆な視点に基づく通史 ★★★★★
 本書は、「太平洋」を主役に置いた通史である。
 古代の縄文人の移動などのロマンあふれる話からオーストロネシア系民族の移動、大航海時代のヨーロッパ諸国の進出と征服、アメリカや日本の近代における攻防、そして現代までを描く。
 そしてまた本書の特徴の一つは、特に日本との関わりを重視している点である。
太平洋-小さな身体に大きな望み ★★★★★
太平洋は地球上の陸地総面積よりも広く、大西洋の二倍以上の広がりを持つ。人々の意識の上にエコロジーが大きな影を投げかけている今この大海を知ることは重要である。これまでのところコロンブスの航海を中心にその後の悲劇的な奴隷貿易などをふくめて大西洋については多くのことが語られている。ところが太平洋についてはどうだろうか。本書はこの空隙を埋める貴重な試みである。
「太平洋は1513年スペイン人バルボアによって発見された」という。もちろんこれはヴァスコ・ダ・ガマがインドへの航路を開いたと言うのと同様で西洋文明から見た話である。しかしこの大海に南北2000キロにわたって接していながら日本人の目は、戦時期を例外として、もっぱら西に向けられていた。一つにはそのために、太平洋近代の歴史はスペイン、アメリカ、そしてその他の西欧列強によって彩られることになる。
本書は多くの知見に溢れている。たとえば中国は西欧にとって最も魅力的な経済圏であり続けたこと(フィリピンの経略にとっては宋代以降の中国南部の商業的発展が支えとなった)、西欧の太平洋諸島との関係はアステカやインカを壊滅させたコンキスタドーレスの行為の延長線上にあり、それに比肩すべき残酷なものであったことなどがある。
太平洋の現在の姿はどうであろうか。それは核爆弾の実験場(マーシャル諸島)であり、アメリカの世界戦略の中心となる強固な軍事基地(北マリアナ諸島)である。現下の日本の横田、座間の両基地の再編問題もそこに結びついている。著者の史観は、このように一見平和な海の歴史にはたえず警鐘が鳴り続けていたことを明らかにする。新書版230頁余でこの大きな題材に取り組んだ著者の勇気は誉めるべきだろうか。読者としてはあと50頁欲しいところである。
グアムやハワイのリゾートの彼方に ★★★★★
私たちはグアム、サイパンやハワイのリゾートに行った時、そこからさらに南に散らばる島々に太平洋戦争や水爆実験の歴史をチラリと思うことがあっても、そこに住む人々の来し方や西洋との関係などはほとんど知らない、といっても過言ではない。この本は、そんな私たちの無知に対しきわめて新鮮で衝撃的な刺激を与えてくれる。太平洋の島々の人たちの祖先は、ヘイエルダールの「コン・ティキ号探検記」が想定した南米人とより日本人との関係の方が深いこと、限りなく天国に近いと言われる珊瑚礁の海が、ラス・カサスの「インディアスの破壊についての簡潔な報告」を想わせる歴史を沈潜させていること等々、学校の歴史の教科書には書かれていなかったことが次々と紹介される。もっと詳しく知りたくなるようなことがいっぱい詰まった太平洋学序説。