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渾身 (集英社文庫)

価格: ¥550
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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素晴らしい! まさに渾身! ★★★★★
読んで損なし!
冗長と評されるのが信じられない取り組みの描写も飽きることなく手に汗握って読み終えた。
タイトルも、取り組みのことだけではなく、登場人物それぞれの生のことも象徴しているのだろう。
確かに大部分が「隠岐島の相撲大会」での取り組みであるが、たとえ数行しか出てこない登場人物の生き様が生き生きと浮かび上がってくる。小説技法的にも偉大な試みなのではないか。
作者の意気込みがそのまま作品の面白さに結実するわけではないだろうが、この小説は希有な成功例だと思う。
登場人物の説明や感情表現はストイックで、現代の派手なレトリックに馴れた読者はわかりにくいとすら感じるかもしれないが(ネガティブな書評があるのにショック受けました)、そういう小説でなければ届かない境地があるのです。
こんな傑作、読まずに済ますには、あまりにもったいないです!
ムラの作法、家族愛 ★★★★★
川上ワールドである。
「雨鱒の川」での純愛、「翼をいつまでも」の初恋、「四月になれば彼女は」での青春、そして「ビトウィン」での家族愛と共同体。
今回は隠岐で行われる20年毎の相撲が題材なのだが、読み始めて感じたのは、宮本常一の「忘れられた日本人」でした。自らが島で生まれ育ち、やがて民俗学者として離島振興に力を注ぎました。そして離島に根付く民俗に対する熱い想いとそこに生きる人々の思想、作法への尊敬。
そんな事を考えながらムラの作法の中で人間が生きるという事をキラキラと描き出している。
あえて、相撲の取り組み場面を寄り詳細に多くのページを割いているところに川上健一氏のムラへの想い入れが感じられる。そしてそれは「ビトウィン」を書くにあたっての山梨のムラがヒントになっているのだろうか。
通勤電車では読まない方がよろしいかと思います。
湘南ダディは読みました。 ★★☆☆☆
帯には今年いちばんの号泣小説とありますが、それ程?って感じです。この作者の「翼はいつまでも」は野球を題材にとった青春小説としてすがすがしいものでした。本作は野球の代わりに相撲をとりあげたのですが、青春小説ではなくて家庭小説としたところに少し計算違いがあったようです。

隠岐島、水若酢神社の相撲大会に英明は正大関に選ばれ、漸くこの集落でも仲間として認められたとして感動しています。実は英明は親や周囲が整えた結婚を挙式寸前に止め勘当同然で麻里と一緒になったため、長年部落では親不孝者扱いされてきたのでしたが、集落の仲間として認めてもらうためにはじめた相撲で遂にその努力が実り最高位に推されたのですから英明の感動もひとしおなわけです。座方の正大関は田中敏夫、下馬評では田中敏夫が圧倒的に優位なのですが、英明は大奮戦をします。わずか250ページの掌編なのですが、その6割以上が二人の対戦状況の描写に終始します。二人の掛け技、受け技の応酬や土俵際のせめぎ合いはまさに手に汗を握るように活写されていて、二人を応援する大声援の中に身をおいているような気分にすらなります。
作品の大半を徹底して息詰まる勝負の描写にのみ費やしたまことにユニークですぐれて感動的なスポーツ小説になったはずなのでしょうが、実は本作には最初に言いましたように家庭小説の伏線があります。
英明と麻里は一粒種の琴世を授かったのですがまもなく麻里は病でなくなり、その後麻里の親友であった多美子と所帯を持っています。しかし幼い琴世にとってお母さんは天国にいる人で、多美子のことをあの姉ちゃんと呼んでいます。大熱戦の最中に琴世が多美子のことをお母ちゃんと始めて呼んだり、全く音信のなかった双方の親達が声援にかけつけてくれて永年のしこりが氷解することなどが盛り込まれていて帯の評者がこのあたりを号泣本といったのなら随分いい加減な評だなと思いました
最後まで手に汗握る一戦 ★★★★★
ある家族が、今まで以上にしっかりと絆を深めることができるかどうか。
また、その家族の行く末を担う、大事な一戦の結果や如何に。
この2本柱で物語は成り立っています。

何度最後のページを読んでしまおうと思ったか。
たった1回の取組で、ここまでひっぱられるとは…

まさに「手に汗握る」攻防戦でした。
登場人物と一緒に力をこめ、わずかな休憩の時にふぅっとため息をつく。

私が予想していなかった形の結末でしたが
読了後は、ともに闘ったという満足感と安堵感に包まれました。
期待していただけに残念 ★☆☆☆☆
書評で随分と評価されていたので読みましたが、残念な内容でした。
親子の情愛は予定調和、取組みの展開は呆れる位のしつこさ・・・。
この単純な主題(けして悪くはない)ではせいぜい半分のページ数が妥当。
そこさえ誤らなければよい作品になったのにと思います。
編集者は適切なアドバイスで作者を生かして欲しい。
とても残念です。