新聞紙面では見えない部分が顔を覗かせる
★★★★☆
アングラマネーとは、政府に見えない地下経済のことを言うのだそうである。本書では、グッドウィル、インデックスホールディングス、ニイウスコーなど今年度経済紙面を騒がせた企業の裏部分を掘り下げて追いかけたノンフィクションだ。新聞紙面では見えてこない闇の部分が顔を覗かせる。
この人たちも新書に来たか・・・
★★★☆☆
不正会計や株がからむ企業の違法行為や、ヤクザマネーものを文庫でコンスタントに出している人たちだが、ついに新書に移転してきたか…という感じ。新聞や経済誌を上手にまとめているのでわかりやすい反面、二次情報しかなく公開情報ばかりなので、物足りない感がある。
この著者の一連のシリーズでは、たいてい企業の転落が描かれている。読んでいると、「溺れる者は藁をも掴む」ということわざはまったく的を射た言葉であることがわかる。本書に出てくる金策に困った企業は闇の人脈から新株と交換で金を調達して…か、不正な会計処理に手を染めて…というパターン。どっちにしろ転落するのだが。パターンは決まりきっていても面白い。
すぐ隣にいる
★★★★★
小型のバリュー株投資は基本中の基本ですが、何もしなければ大きくはなりません。
事業を大きくしたい、あるいは資金繰りに困っている経営者の隙を突いてくるのが黒いマネー。
しかし、巧妙にその姿を何重にもカモフラージュして近づいてきます。
本書では、メディアをにぎわした企業破たん、不祥事を取材し、そこにどのようなからくりがあったのかを詳述しています。
ニュースでは、わかりにくかった金の流れ、人物のつながりが丁寧に記述されています。
NHKで昨年放送され、出版化された”ヤクザマネー”にもありましたが、表の社会と裏社会をつなぐ元スペシャリストの存在があります。
大手や外資系の金融機関から転じた人々です。
見えにくい金の流れを彼らが、さらに見えにくくしています。
この共生者たちの行動をもっと注目していく必要があります。
透明性が問題になる新興市場から資金が逃げていくのは道理かもしれません。
90年代から続く日本の景気の悪さは、世界から”ヤクザリセッション”呼ばれているそうな…。