怪奇とは別の面白さも
★★★★☆
この全集の小説群を読んで怪奇を感じる現代日本人が果たしているのだろうか、と疑問に思う。おそらく、古く狭いキリスト教的世界観から見れば恐怖と怪奇の世界なのだろう。一方、SF的な要素もあるがSFとして見てしまうと安っぽい子供向け作品に見えてしまう。しかし、これらの作品は、作者本人に注目すると急に面白くなる。解説を信じるならラブクラフトは、病弱で世捨て人的な生活を送り、自分で作り出した神話の世界に取り憑かれていたという。その心理を想像しながら作品を読んでいくと、ただの三文怪奇(SF)小説ではない面白さが感じられてくる。
何ページ読めば怖くなるのだろう
★★★☆☆
アメリカのホラー作家ラブクラフトの代表作『インスマスの影』所載。
ラヴクラフトの世界観を表すクトゥルフ神話の初めとなった小説。
と,ここまでは百科辞典の受け売り。
ホラー、クトゥルフ神話あたりがキーワードとなって、
それが気になったので読んでみたがせっかちなぼくには合わなかったようだ。
この小説は何ページまで読み進めば怖くなるのだろう。
インスマンスの影だけ読むという意見に賛成
★★★★★
おれも、「インスマンスの影」だけ読むという意見に賛成です。
それだけ、抜群に面白いです。
そのアイデアは他の作品にも影響を与えていて、
漫画の「新ジャングルの王者ターちゃん」のヴァンパイア編に影響が見られます。
あと漫画「七夕の国」はインスマンスの影をやろうとして失敗した話だと思ってます。
何も付けない豆腐
★★★★★
漫画みたいにさくっと読んで面白かったー^^
という作品を期待しているのならやめた方がいい。
翻訳のせいか若干の読みにくさも感じる。
そしてストーリーは淡々としている。
軽く読んでもあまり面白くない。
ただ、何も付けない豆腐のようにこちらが「味わおう」と
意識して読めば全く違った内容となる。
初クトゥルフで予備知識も何もないなら「図解クトゥルフ神話」
などと合わせて読むといいだろう。
寝るときベッドの下に化け物がいたのでは?
シャンプーの時目を開けるのが怖い。
そんなじわじわと読み手の想像力をかきたてるかなり
深い作品です。
インスマウス、闇にささやくものは是非じっくり読んでみてほしい。
ラヴクラフトの恐怖
★★★★☆
「インスマウスの影」「闇に囁くもの」「壁のなかの鼠」「死体安置所にて」
この巻に出された四作品の中で、ラヴクラフトの代名詞とも言うべきクトゥルー神話を舞台とした作品は、「インスマウスの影」「闇に囁くもの」の二作品です
「インスマウスの影」は、クトゥルー神話ファンであれば、いまさら言うまでもないほど有名な作品ですね。
クトゥルー神話は、ラヴクラフトの作品に魅入られた複数の作家によって、より練りこまれた部分が多いので、どこからどこまでがラヴクラフトの設定かどうか理解が難しいところがあるのですが。
少なくともインスマウス人はラブクラフトの作り上げたものですね。
白人というのは、日本人のように魚を食べる民族はもともとは少ないせいか、どうも鱗をもった生き物を嫌悪する性質があるようです。
ラヴクラフトは20世紀初頭のアメリカ人らしく、きわめて保守的で、有色人種に対しての嫌悪感はかなりのものだったようですから。
インスマウス人のような存在に日本人や中国人のような有色人種を重ねていたとの説もあります。
もっと言えば彼の作品に表れる怪物たちは、ラブクラフトが有色人種に対して感じていた嫌悪感をそのまま表現したものかも知れません。
「闇に囁くもの」ではユゴスの甲殻生物ミ=ゴが登場します。
あと「壁のなかの鼠」「死体安置所にて」の二作品は、クトゥルー神話は直接絡んでいませんが、「壁のなかの鼠」はラヴクラフトらしい世界観を感じます
いずれにしてもラヴクラフトの小説は、主人公が感じる恐怖や嫌悪が文字を通じて感じ取る事ができ、それが非常に魅力的な世界となっています。
読み手としてはラブクラフトが提供する恐怖を感じ取る事が大切でしょう