について、これまでの本で思想的にも底をついてしまった感が。
むしろ本国でかれの評判を高める鋭い批評や短文のものの方が
邦訳を待つと言わざるを得ない。
こうして、「僕」とヴァレリーとジャン=イヴの三人は「世界の運命のための土台[プラットフォーム]」を、つまり「クラブ・アフロディーテ」と名づけられるツアーの企画を打ち立てる。《セックス観光とは世界の未来像なのだ。》──ここには、『素粒子』で示された、一神教の発明、科学革命に次ぐ第三次形而上学的変異後の「快感のエコノミー」をめぐる資本主義的変異が描かれている。(もっとも、この「風変わりなクラブ」は立ち上げられると同時に、タイのクラビーでの無差別テロによって破砕されるのだが。)