パラドクシカルな有用性
★★★★☆
「金曜と土曜、僕はたいしたことはしなかった。そう呼んでよければ、瞑想をした。たしか自殺について、そのパラドクシカルな有用性について考えたのだと思う。たとえばチンパンジーをコンクリートで仕切られた、非常に小さな部屋に閉じ込める。チンパンジーは怒り狂い、壁に体当たりし、自分の毛をむしり、自分の体をひどく噛み苛むようになる。そして七三パーセントが自殺と明言できる形で死ぬ。今度は壁の一面を開放し、底なしの深淵に対峙させる。チンパンジーはぎりぎりまで近づいて、下を見下ろす。彼は長いこと縁に留まる。何度もそこへ戻ってくる。しかしたいていの場合、身を投げたりしない。いずれにせよ、彼のいらいらは根底から鎮まる。」
ウエルベックの小説は、要するに、この挿話の中の「深淵」みたいなものだ。
セックスに対する現代人の不安
★★★★★
現代人の抱く不安、特にセックスに対する不安をよく表現している。「勝ち組」・「負け組」という言葉にあるように、経済的な成功も性的な成功もすべて闘争によって勝ち取らなければならない。
きっと自分なんて、その競争には勝てないな。人一番、勝ちたいくせに、勝負には興味のなさそうな顔をする。そんなみにくい自分が、この本を読むと見えてくる。
読んだ順番が『素粒子』の次になってしまったので、表現のおとなしさには、気になるところだが、なかなか読ませる作家だ。
処女作だけに実験小説の域を出ていないがウエルベックの作家としての成長を理解する助けにはなる
★★★☆☆
フランスでカルト的人気を博する新進気鋭作家ウエルベックの処女作。
『闘争領域の拡大』とは、経済的「自由」、性的「自由」を勝ち得た我々は、それにより平穏な人生を得るどころか、その「自由」さゆえに、闘い続けなければならないという、今日的な状況を意味している(当然、敗者も多数生まれる)。
この『闘争領域の拡大』した世界で、主人公は、ウエルベックは、「愛」とは、「人生の意味」とは、「性」とは、「老いの苦悩」とは、と自分を取り巻く世界の概念を真摯に解明しようと努める。
ウエルベック最新作『ある島の可能性』は歴史に残る名作であるが、本作は処女作ということもあり、実験小説の域をでない。難解なウエルベックの哲学的思想がどのように発展していったかを知る上では助けになるかもしれない。
期待どおり!!
★★★★★
ミシェル・ウエルベックの1994年の処女小説、
『闘争領域の拡大』が新しく翻訳出版されているのを書店で発見し購入。
読みかけの本を横に押しやり、とりあえず導入部分が気になる。
ブラジャー、馬鹿女、尻スレスレ、ケツ、脚、くねくね、テブ、そもそも課長からして勃起、、、
期待どおり!!
わずか3ページからなる導入部分だけで、この充実っぷり。
それはさておき、気狂いじみた性への執着を余すことなく
曝け出しながら、素晴らしく見事な物語を紡ぎ、哲学を語り、
未来を予見し、人間の本質に迫る。変態ウェルベック!!
うーん
★★★☆☆
よくわかりませんでした。ただ僕の理解力が足りないからかも。。個人差がありますね。興味があればぜひ。