脳科学サスペンスの傑作
★★★★☆
脳科学、心理学をテーマにしたサイコ・サスペンス。
これは久々のヒット!ページ数以上に読み応えがあり面白かった。
精神科医が深層心理を分析しながら、
猟奇的な殺人を繰り返す犯罪者の内面に迫っていく・・・という物語。
ところどころに小難しい医学用語が出てくるが、殆ど問題なく読めた。
一体何が、人間の精神を破壊してゆくのか?
不遇な環境や不運な出来事が生み出す、歪んだ心の恐ろしさ。
それはさして大げさな事でも特別な事でもなく、
ほんの少し何かが違っていたなら自分たちにも起こり得ること。
そう思うと非常に恐怖をおぼえる。
また、主人公の女医と関わる三人の異常者の中で、
脳に傷を負ったことにより右脳と左脳の情報交換が出来なくなった男の話が
何よりも一番興味深かった。
脳が正常に機能しなくなると、人間はどうなるのか?それが精神にもたらす影響とは?
この作品を読んで考えてみても、絶対に損はないと思う。
猟奇的だが真摯な作品
★★★★☆
作者が人間の脳細胞の働きに真剣に取り組んだ作品で映画化もされた(高島礼子のヌード・シーン、良かったですね)。
美人の精神科医を中心に、事件で脳に損傷を負った恋人の刑事、やはり脳障害で性格が突如として豹変して女性を狙う男、同じく脳障害で猟奇的殺人を繰り返す男が織り成すサスペンス小説。猟奇的殺人を中心としたショッキングな事件性が目立つが、作者の意図は人間の脳の働きの解明にあったのだろう。脳に関する専門用語が頻繁に出て来る。しかし、作者の配慮で単なるサスペンス小説としても読めるようなっているので、敬遠する必要はない。最後のオチは読む者をドキッとさせるもので最後まで楽しませてくれる。
脳の働きの解明と言う医学的問題とサスペンス性を巧みに融合させた傑作。
紙一重
★★★★★
狂気が、すぐそこにあるにもかかわらず、気づかない、異常さが紙一重で隣合っている、そんな世界を、実にリアリスティックに丹念に描いている。私は著者の作品の中で、この作品が最も好きだ。
筆者らしい知的なミステリー
★★★★★
脳に障害を負った刑事、トラウマから突如人格が変わるプロ野球選手。制服の女性を次々と殺す殺人犯。この3人が、いつのまにか精神科の女医のまわりに集まってくる。
果たして彼女の運命は・・・という、スリリングな長編。
(発刊当時の)最新の精神医学や脳の研究成果をを取り入れているが、学術的ではなく、文章も読みやすいので、純粋にエンタテインメントとして楽しめる。
ちょっときつい話
★★★★☆
主人公・南川藍子の周りで次々と起こる猟奇的殺人。
やはり同じ女性がズタズタにされた殺されたり、何人も殺されたりするのはあまりいい気分ではありませんが、
サスペンスとして読み応えがあると思います。
最後の落ちもドキッとしますよ。