1曲目の『Sussudio』からもうノック・アウト
★★★★★
1985年1月25日リリース。録音は1984年、ロンドン、タウンハウス、サリーのザ・ファームで録音されているが、ストリングスは別に録音されているようだ。アルバムに書かれているがフィルの字が達筆すぎて判読不能である。全英1位・全米1位という記念すべきアルバムである。
アルバムのタイトルは、フィルがシカゴの高級レストランで食事をしようとした際に、そのレストランが『スーツ・ネクタイ着用必須』(Jacket Required)の レストランだったため、その時ラフな服装だったフィルは店のオーナーから入店を断られてしまった。 その事に怒ったフィルは製作中のこのアルバムのタイトルを『スーツ着用不要』(No Jacket Required)と、したらしい。そのくせアルバムのインナーにはダブルのスーツに白のコンバースで決めたフィルの写真があったりする。そのレストランのオーナーはその後フィルに謝罪の手紙を送ったとのことだ。
1曲目の『Sussudio』からもうノック・アウトである。5曲目の『One More Night』にたどりつく頃にはもうめろめろ。すばらしい友のアシストを得て、絶好調のフィル・コリンズここにあり、と言う感じかな。
終に爆発、P.コリンズ(^^;
★★★★☆
ジェネシスでの活躍は言うに及ばず、'80sにソロとして大成功を収めたP.コリンズの3作目('85年作)。前作、前々作もヒット作ではありましたが、最終的に本作でグラミーのアルバム・オブ・ジ・イヤーおよび最優秀男性ポップボーカル・パフォーマンスを手中に収めるに至りました。
シングルカットされた各曲([1]や[6]、[10]等)から推し量られるのは、この人が元々備えている陽の部分が非常に上手く作品に活かされているという点でしょうか。
ゆえに"ポップすぎる"、"(マーケティングに)迎合しすぎ"という見方/意見があったことも事実でしょう。
とは言え、1stソロ作品から着実にヒットするだけの"読み"を持って継続的に作品を作れる力量や音楽センス、軽快なビート、明るいホーン・セクション(EW&Fで御馴染みのフェニックス・ホーン・セクションが活躍)の多用などは流石に天賦の才と言わざるを得ないのではないでしょうか。
P.ガブリエル(vo)、D.ステューマー(g)といったジェネシスつながりアーティストやスティングの参加も決して客寄せ的な目的ではないでしょう(^^;
フィルコリンズの名前が売れているのでノージャケット必要なし
★★★★☆
「ザッツオール」やカリブの暑い夜のサントラ「見つめてほしい」の大ヒットを受けて制作された3枚目、前作の個性や特色を残しながらも更に万人に受け入れられるポップな曲(ススーディオ)、そしてさらに磨きがかかった切ないバラード((ワンモアナイト)など、大ヒット間違いなしの楽曲が揃った傑作、このアルバムやシングルがヒットしている時期に「イージーラバー」も大ヒットし、テレビやラジオフィルの曲を聴かない日はないという感じだった。こうした状況が86年の「インビジブルタッチ」まで続くことになる。この作品は4thシングルの「テイクミーホーム」のヒットまでロングランヒットを記録し、ようやく売れなくなったころに「インビジブルタッチ」がでてシングルヒットが続くという快進撃を続けていた時期だった。個人的なベストトラックは「テイクミーホーム」でリズムボックスの音とシンセの音色、そしてドラムのどどどどっとした感じがすごく好きで、「帰りたいよー」というコーラスが胸にひびく、海外に出張に出かけるサラリーマンにとっては共感できるたまらない曲だったのではないかと思う。6の「ドントルーズ」のビデオはポリスやカーズのPVを皮肉る面白い内容だった。他にもライブでやったら盛り上がりそうなアメリカ向きな曲も多く、フィルコリンズヒッツが好きな人ならきっと好きになれるアルバムだと思う。昨日の成人式後の飲み会で20歳の洋楽好きの若者にフィルコリンズの話をしたら、「知らない」と言われ、世代の違いを感じた。ぜひとも80年代のジェネシスフィーバーを知らない若者たちに注目してもらいたいアルバムである。