1stソロアルバムの意気込み
★★★★☆
'80s最も忙しかった(であろう)一人であるフィル・コリンズ。ジェネシスのフロントマンとしての活躍(事実、米のチャートではピーター・ガブリエル時代のジェネシスよりビジネス的には売れている筈)と並行に、満を持してのソロ1st作品となるのが本作('81年作)。
周知のように、この後の2ndアルバム("Hello, I Must Be Going!")、3rdアルバム("No Jacket Required")が立て続けにヒット、映画のサントラへの曲提供や自身がアクターとして映画出演するなど、まぁ、ここまでタレントを見せつけられては言葉がありませんでした。
本作では、所謂、大爆発期の少し前とあって、万人に支持されるであろうポップさのようなものはまだまだ希薄で、寧ろ、'70s末期から'80s初期辺りのジェネシス・サウンドをベースに情緒性を強調したような感触になっているのではないかと思います。
#"夜の囁き"というアルバム邦題が何ともしっくりときます。
[1]は、これまた'80s米ヒットドラマの筆頭、マイマミ・ヴァイスの挿入曲として使われていたので、聞き覚えのある方も多いのではないかと思います。
#グレン・フライの"You Belong to the City"と双璧をなしていましたっけ(^^;
単純にヒット志向という点や(リスナー側の)聴き易さ等を考えると、先述の2nd、3rdに軍配が挙がるのでしょうが、P.コリンズが本作に込めた意気込みという部分は十分に感じ取れる作品だと思います。
その後のP.コリンズ作品でも活躍するダリル・ステューマー(g)、名手アルフォンソ・ジョンソン(b)を始め、ホーンセクションにはアース・ウィンド&ファイアのホーンセクションがクレジットされています。