佐竹義宣
★★★☆☆
若かれしころの果敢な勇猛さに比べ、関ヶ原後の異封・減封に対しする彼の苦悩が十分表現されていない。上杉、毛利、島津など家康と距離の遠い緒将に対し、義宣は家康の近い所にいながら西軍についてしまった等結果論に過ぎないが悔やまれる。「家康の最も恐れた武将」あるいは「最も家臣にしたかった武将」などとはいわれるが、本当にそうだったのかこの小説ではわからない。ストーリーが単調で史実に適当な会話を挿入した程度か?。歴史小説145作品目の感想。2008/07/21
偉大な親を持った苦悩
★★★★☆
板東太郎、鬼義重と呼ばれた父の跡を若くして継ぐものの、隠居の父の家中での存在感、石田三成との厚誼との間で苦しみます。
そのため関ヶ原で身動きが取れなくなる結果になった挙げ句、先祖伝来の常陸を追われた義宣の苦衷を描いた作品です。
父や、父が引き上げた家臣達との確執、京を中心とした豊臣政権と本拠常陸との間で揺れる義宣の心情が見事に表現されています。
「佐竹義重」第二巻
★★★☆☆
前作「佐竹義重」の補完的役割を果たす一冊。
近衛氏があとがきで仰られている様に、単体でも楽しめる編集になっています。
とは言え、併せて読む方がより一層楽しめる事でしょう。
隠居の義重や東家義久の抜群の活躍に比べ主人公・義宣はと言えば…
義宣が華々しく活躍する小説を読みたい方は避けた方が良いかもしれません。
ただ、人間味には富んでいる主人公で、小説としては面白かったですね。
大名クラスは勿論、かなり下っ端の武将まで、登場人物が非常に多いのが特徴でしょうか。
ズラッと羅列される箇所が多い為、読んでいてテンポが悪いです。
巻末に挙げられている膨大な参考文献を見ても、かなりの下調べが伺えるのですが、
読み易さが犠牲になってしまうとちょっと考え物。
時折思い出した様に記載される史実の補足も拍車を掛けます。
(太田三楽斎逝去の箇所とか。)
家督相続から義宣逝去までと、ヴォリュームは十分で消化不良感もありません。
常陸佐竹氏に興味のある方には非常に満足のゆく一冊と言えるでしょう。
そうでない方には、少々お勧めし辛い一品ですね。
『佐竹義重』と同じく、酷い歴史小説
★☆☆☆☆
前作『佐竹義重』の悪いところが全て出ている印象。
人間ドラマはなし。
語彙が少なく同じ表現が頻出。
主人公はピンチになるとすぐ父上に泣きつく。
当時の日記や書簡文をそのまま引用して話をつなげていく方式をとっており、ただの年代記を書きたいのか、小説を書きたいのか、意図不明。
さらに言うと、著者の創作したフィクション部分(追い討ちが佐竹のお家芸など)が、つまらない。
書簡の引用の多さにごまかされて、読む人がこれを史実だと受け取らないことを願う。
律義者の限界
★★★★★
関ヶ原で、上杉景勝と重要な役目を担うはずであった佐竹義宣。
石田三成から受けた恩義に報いようと一時は、徳川家康との全面対決も謀る。
しかし・・・武家は生き残ることこそ肝要。
いや、義理を守ることこそ武士の道。
名門であるがゆえ、義理堅いゆえ、東軍・西軍の狭間で苦悩する。
そして、佐竹氏は負け犬として、秋田に飛ばされてしまう。
しかし、佐竹氏が関ヶ原で態度を明確にしなかったのは腑抜けだからでは無い。
義宣に厚い人間味を見出せる作品。
主人公は義宣だが、北城様義重の存在感はずば抜けている。