見逃しがちな日常の不条理を再発見する快楽
★★★★★
色々な所で連載・掲載されたたエッセイをまとめたもの。
今回はカタカナ英語あり、PC関係ありとバラエティに富んだ内容となっていますが、
中味は至っていつもの宮沢ワールドです。
つい見逃しがちな日常に潜むおかしなことをモチーフにボケたり、
ツッコんだり著者ならではの演劇的なタッチを堪能できると思います。
笑わせてくれるエッセイ
★★★☆☆
呆然とする、というよりはあまりのことに脱力してしまうエッセイがこの宮沢章夫のエッセイの大きな特徴になっている。もともとは、劇団を主宰したりする演劇作家さんなんだけれど、この人のエッセイはとても面白くて、『牛への道』という一冊以降、文庫で出るたびにこの人のエッセイは買ってしまう。
(あ。まったくの余談なんですけれど、今回のエッセイの中で、その『牛への道』というタイトルがつけられた由来が明かされる話がはいっています)
なんというか、目のつけどころが上手いんですよ。
そんなことからここまで面白い展開をするかなぁと溜め息が出るほどに話を転がしていくのが上手いです。どうでもいいような事をとことんひっぱって話を膨らませていくこの人の語りにはまるとついつい吹き出しそうになってしまいます。
今回はいくつかの雑誌で連載していたものを再編集したものらしく、そのせいかかなりその雑誌にふさわしいネタが並んでいて、ちょっと話題が偏り過ぎているところが出てきていますが、それもまた面白くて、本当に笑わせてくれます。
この感覚は、ちょっと文章でうまく伝えることができません。
めちゃくちゃ短いエッセイばかりだから、本屋さんで手にとって読んでみていただく方が早いてす。たぶん、笑えます。
ただし、飲み物を飲みながら読んだり、電車の中で読むのはちょっと恥ずかしい事態を引き起こしかねませんので、避けて下さい。もしおもいっきり牛乳やビールを吹き出したり、電車の中で変態と思われたくなければ、それだけは守って下さいね。
そんなわけで、今日は脱力系の面白エッセイを紹介しました。
茫然とさせられた
★★☆☆☆
しょーもない、その気になれば一瞬で解決するようなことを問題視し、妄想して、いつまでもぐずぐず言っている。どの作品も同じ。なぜ解決しようとしないのか、そのことに茫然とさせられた。書名はひょっとして「茫然とさせる技術」の誤りか?
たまに思い出したように、1~2篇読むと面白いかもしれないが、まとめて読むと、すぐに飽きてしまう。
2~3冊
★★★☆☆
宮沢章夫さんの「牛への道」(だったか?)以降2冊ほどは楽しく読めましたが、どれも同じとこに気がつきました。
どの本も金太郎飴状態。
出張中の新幹線などで読むのにちょうどいいかもしれません。
宮沢章夫のエッセイとしてはイマイチ
★★★☆☆
筆者お得意の、どうでも良い事に対してのコダワリ盛りだくさんです。カタカナの方法、茫然とする技術、蹄を打ち鳴らす音よ!、コンピュータと生きて、読書する犬、の5章に分かれてます。「カタカナの方法」では元の英語を辞書で調べればわかる事が多く、少し白けてしまいました…。あと、「コンピュータと生きて」に関しては内容が古くて昔からのコンピューターに触れていない人には面白みが伝わらないかと思います。なので総合的に判断すると、物足りなさを感じるかもしれません。ただ、これは宮沢章夫だからと期待しすぎたせいですので、一般的なエッセイとしては充分面白く楽しむ事はできます。