漫画として楽しむ事は難しいのでひとまず下準備して下さい
★★★☆☆
私は青山先生の作品繋がりで本作に入った人間です。
舞城先生に関する知識としては
敷き詰めるように文章を書く作家であるという程度の認識です。
本作の感想ですが端的に言うと
あまり肯定的な見方は出来ませんでした。
原作ファンの方々のレビューを御見受けする限り
きっと漫画化そのものには大方成功しているのどうろうと思いました。
メディアミックスで良くある「○○化による駄作への変貌または退化」の様な事故は
起きていないようです。
キャラクターも青山先生独特のエグイ心理描写も相まって
とても躍動的に描かれていたと思います。
しかし、ストーリーを漫画の流れから読み取る事が非常に困難です。
え?と思ううちにおいてけぼりにされているような感覚を受けます。
多分ストーリにおける要所要所を荒削りしていることから
こういった事態になっただと思います。
文章のビジュアル化という点で原作ファンの方にはおおむね高評価ですが
青山先生の作品から入る方は要注意です。
舞城ファンが漫画を先に読んでみた感想。
★★★★★
小説は他の作品を3冊くらい読んでたけど、これは試しに先にこっちを読んでみました。
まず、すごい、雰囲気が舞城だ…。と思いました。
スピード感と力強さと愛。
引き込まれ、活字で読む以上に一瞬で読み終えてしまうのが唯一難点かもしれません。
スクールアタック・シンドロームも良かった!
こっちはバツイチ無職独身男と、その小学生の息子との話。
暴力は伝染する…それを止めるには?
離れて暮らす息子との希薄なつながりは、どうしたらいいのか。
原作読んだことなくても全然問題なく楽しめると思います。
激しいので読む人を選ぶかとは思いますが、舞城ファンならぜひ勧めたいです。
あと、エロ/グロ 駄目な方、18歳未満の方はご注意下さい。
漫画表現も小説表現も変わらない
★★★★☆
原作(舞城王太郎『熊の場所』に収録)はかなり前に読んでいた。プロの漫画家による漫
画化は、舞城王太郎の作品としては初だったので、Maijo的表現が漫画でどう表現されて
るのだろうという期待を抱えながら読んでみた。原作とかけ離れている印象はなく、書き
下ろしの「スクールアタックシンドローム」(原作:舞城王太郎『みんな元気。』に収録)
まで面白く読めた。原作と感じることがほとんど同じすぎて、文学小説と漫画の境目なん
てないように思えた。そう思えるだけでも価値のある一冊かもしれない。
特筆するとしたら、「ピコーン」の主人公が、原作のヤンキー女のようなイメージでは
無くて、かわいらしくて強い感じの女の子、ってところだろうか。あとは原作とほとんど
同じ。そしてそれが嬉しい。文学と漫画の境目なんてないよ。