不確実な時代での自信を回復させる癒し本
★★★★☆
本書は不確実な事象をマネージメントするために確実なものにするという発想ではなく、それらを不確実なままでマネージメントしようという観点で書かれている。
確かに昨今の企業が取り組む課題には、予想不可能なことが多くなっている。それが予想できないことにより、自信を失うこともあるのではないだろうか。
しかし、そもそも予想できないものは仕方ないという姿勢で取り組む場合もあることを力説する本書は、読者に再び自信を持たせてくれるものと思う。
本書でキーワードとする単語はあまりに基本的で飾り気がない。
それらについて色々な視点で繰り返し力説する前半は、ややうんざりするかもしれない。
しかし、中盤からその効果が現れて、前半で基本を十分に理解した者にとっては明瞭で簡潔な後半の結論へと導かれる。
本書を読むことにより、計画的な手順の大切さとともに、本来、それとは矛盾する計画外の事象への取り組み方との関係を整理することができる。
これら2つの位置づけを理解して設計することで、それぞれの効果が最大化することの意味を知ることができるのは、すばらしいことである。
翻訳は大変ていねいに行なわれており、そうではない場合の原書を開きたくなる衝動とは無縁の良訳である。