米将軍と呼ばれた吉宗の親政をうまくまとめている。
　石ノ森章太郎、本当に頑張ってらっしゃる。徳川幕府の8代目の将軍、吉宗は紀州徳川家の四男で、将軍どころか、紀州の藩主にすらなれないはずだったのだが、兄を次々に喪い、紀州藩主を継ぎ、藩経済を立て直し、その実績から、本家の直系が耐えたことから、将軍になった異例の人である。

　享保の改革を行い、幕府の財政を立て直そうと尽力したが、倹約を主眼に、流通を盛んにしたわけではなかったので、幕府の力が完全に盛り返したわけではない。これによって、幕府は政道をゆるめたり引き締めたりを代替わりごとに繰り返してゆくのである。

この「マンガ日本の歴史」シリーズは史実に基づいた原案を歴史学者が作成している。この巻は享保の改革の徳川吉宗を多面的に描いたものである。世間に流布する吉宗についての固定的なイメージ（暴れん坊将軍、米将軍）だけではない吉宗の真の姿を描こうとしている点が良い。このシリーズの他巻には時々どきついシーン（一巻に１，２コマ）も見られるが、この本にはそれがなく安心して子どもに読ませることができた。