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塩の文明誌―人と環境をめぐる5000年 (NHKブックス)

価格: ¥966
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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第三章以降は環境科学の入門に適する ★★★☆☆
前半と後半で性格が大きく異なる本である。第一章・第二章は、製塩の歴史や塩を利用した食文化の紹介などで構成され、塩に関する雑多な知識を与えてくれる。ただし、欲張ってトピックを盛り込みすぎたのか散漫な印象を受けた。読み物としての面白さや迫力には欠ける。

しかし、第三章以降は良くまとまっていて読みごたえがある。後半に入ってようやく本書の主題が環境問題だと分かる。まず、アラル海の縮小と黄河の断流を取り上げ、その原因と実行した対策およびその効果を詳細に報告しながら、灌漑と土壌塩害の関係を論じる。この水と塩の関係が理解できたところで、メソポタミア文明と楼蘭王国が滅亡した理由を考察する。その歴史を教訓として、塩害に苦しみ始めたエジプトとカリフォルニアの農業を考える。

本書は、現在の問題として、ダムや水路による水のコントロールの仕方を考え直さなくてはならないと指摘する。自然を制圧するのではなく、自然と共存しようとする態度にもっと目を向けてほしいと訴える。単なる「塩」の歴史本だと思って読んでみたら、いつの間にか環境問題を考えさせられ、治山・治水のあり方にまで話は広がっていた。