千利休もまた過ぎて及ばざる者。
★★★★☆
10 日間の開催を予定されていた北野大茶湯が、
僅か 1 日を以って急遽閉幕された史実の真相を大胆に解釈するところから、
古田、利休、山上宗二ら数寄者が、自身の価値観を引っくり返され、
そして尚、新たな姿勢でわび数寄の世界を生きる道を定めようとする様までが、
大きな抑揚が無く、しかし軽快なテンポで描かれている。
さながら、ホップ → ステップ → ホップ → ステップ → ホップ … と、
一体いつジャンプすんだ !? みたいな。だがそれがいい。
やがて大きなジャンプがやってくることを期待しつつ、
そんな上述の 3 人に捧げる一曲を、本作サブタイトル調に。
数寄とは強いもの ( 愛とは強いもの / Maxine Nightingale 1975 )
物語
★★★★★
北野大茶湯は万博!?
「席」を奉じた参加者達の七転八倒?ならぬ、それぞれの
創意工夫が可笑しさを持って表現されています。
既刊の中でも上位に来る「濃さ」(時系列的に短期)
の6巻だと思います。
侘びとは何か? 模索する織部守。
そして「侘びそのもの」自らの政治論理に同化させてしまった利休。
二人の葛藤が面白かったです。
哲学的な内容な6巻だと思います。
そして、それぞれの「侘び」に対する茶室の意匠が良く出ていて、
面白かったです。
REBORNする登場人物たち
★★★★★
今巻は、「気づき」の巻。
古織だけでなく千利休までもが
自分の(人間の)未熟さに気づく。
『過ぎたるは及ばざる如し』
この言葉が重い。
表紙も、この2人が主役である。
目線をずらして対峙している。
利休が黒を廃した時
そこに気づける古織がスゴイのだ。
「瀬戸物」の由来が最後のページに登場
出直しましょう、私たち
★★★★★
天下一茶人決定戦ともいえる「北野大茶湯」。空前絶後のわび数寄EXPOで師を超えてみせると張り切る織部。
文字通り命を張ったその"ツリーハウス"茶室が、三成の怒りを買ってアララ大惨事です。
リベンジマッチでも"縄文式"茶室が皆の失笑を買う始末。
トコトンとBGMを担当する上田殿の姿には、涙せずにはいられません。これよ、これぞ古織殿真骨頂よぉ!
これほど主人公の失敗を読者が待ち望む漫画はありませんもんね。やーいばーかばーか。
……しかし、古織殿を叱りつけた利休もまた、トゥーマッチなわび数寄の業を指摘されるのでした。
傲慢な宗二も己の愚かさを悟る本巻。
「出直しましょう、私たち」
三者三様のリスタート、その裏には秀吉と三成の非情な思惑が潜みます。
次巻のとんでもない悲劇前、嵐の前のすがすがしさです。