センスよくまとめてしまう凄さ。
★★★★☆
小玉ユキ先生の初期短編集第1弾。
ベトナムを舞台に、純情な少女・マンの淡い恋を描いた表題作ほか、全6編収録。(オビより)
やっぱり小玉ユキ先生の絵は好きです。シンプルなきれいな線で読みやすい。
表題作の「マンゴーの涙」は少ししょっぱい初恋の話です。
妹想いのマンの兄・チーの恋も描かれてます。
他には、「ROVER」
高校時代の憧れだった大親友、顕が女ホームレスになっていた。
でも彼女はこのままがいいと言う。お金はいらない,働くのは性に合わないと。
生き生きしている彼女とマトモにOLとして働く主人公。
置かれている社会、価値観の違いがよく描かれています。
あとは不思議系な「玉子王子」「憂鬱ヤマラージ」
両編に共通して登場する人がいるのですが、彼がまたいいキャラ。
というか周りの変キャラが彼を引き立てているのか…?
ある場面でわたしは笑ってしまいました。
玉子王子は何というかバカで愛すべき可愛さです☆
扱いにくい話を決して軽んじている訳ではなく、軽快にセンスよくまとめてしまうところがすごい。
人物の心の動きと風景や物がぴったりあっていて、引き寄せられます。
そして、必ず最後は救いがあるところが…。*
読んでいる側もホッとして読み終わることができます。
個人的にこの作者さんのシュールな話がもっと読みたいと思いました。
遊び心がいっぱいで、おもしろくて可愛いんです。