ブラジリアンミュージックというと、リオ・デ・ジャネイロや
バイーアなど民族的な音作りのイメージが強いかもしらない。
その一方で南米有数の大都市サンパウロではこんな都会的な
メロウかつジャジィーな音が作られていた。
ジャズ心溢れる音作りにも、ブラジリアンの息吹ははっきりと
感じられる。ブラジルの美しいコードワークとリズム感をもって
クリアなヴォイスで歌われるジャズ。そんな形容が似合う作品。
選曲も1920~1930年代のジャズ・スタンダードナンバー
に始まって、MPBを代表されるアーティスト、シコ・ブアルキ
やカエターノ・ヴェローゾまで幅広い。それが一貫性をもって
一つのアルバムに収められているのだからまたおもしろい。
ストレート・ア・ヘッド ジャズミュージシャンのホベルト・シオン
がアレンジを担当していることも大きな影響があるといえよう。
音楽や舞台での経歴は長いのだが、本作品「LP」をもって
40歳にして初のデビューアルバムを発表することになった
マルシア・ロペス。長いキャリアがもたらした経験からくる
しっとりとしながらも壷を押さえたヴォーカルプレイは、
デビューアルバムとは思えない貫禄を感じさせる。
カエターノ・ヴェローゾをして「最も美しい歌声を持つ1人」
と言わしめたマルシア・ロペス。どうぞご堪能いただきたい。