科学史から見る物理数学
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物理数学関係の本は、どれも似たような展開がされる。
数学の極端な例で言うと
1+1=2
いったい誰が最初に考えたのか?
また「ピタゴラスの定理」というものがある。
これまた、数学としての理解を助けるための多くの教科書・書籍があるが、
数式の話に入る前に、いったいピタゴラスは、ここにたどりつくまでに、
どんな生活を送っていたのか?どのような試行錯誤をしていたのか?
そういう思考背景が知りたいと思っていた。
現在の小・中・高・大学の数学は、自明のものとして、
そういった人間の心の変遷を教えない。それが残念である。
たとえば、私が知っている有名な物理学者ボルツマンの自殺。
しかし、有名な「ボルツマンの式」の素晴らしさだけが
クローズアップされることが多い。
この田原さんの本を読んで、数学そのものよりも、数学の歴史に興味をもつ
きっかけとなった。感謝。
学生の理系離れが問題になっているが、元来の数学だけを教えるのでなく、
科学史や数学史による人間ドラマ、ドロドロした人間の心の葛藤など
も教えることが、視野が広がり、科学・数学好きになる
きっかけになるのではないかと思うようになった。
この本のサブタイトル「なぜ物理法則は数式で書かれているのか 」
は、正直、ずっと心に引っかかっていた。
「自明なこと」ではない。
その裏に当時の哲学・宗教・人間ドラマがあるから数式になったのだと。
この内容を学校でも教えて欲しい
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ゆとり教育のお陰で、現在の教育では、表面的なことしか習わなくなり、その結果、本来の勉強のおもしろさが失われていると思います。
”なぜ?””どうして?”この公式が必用で、”どのように”導き出されたのか、そこが本当に理解できれば応用範囲が広がり、勉強が苦痛ではなく楽しみに変わります。
この本は、どのようにして現在に至っているのか、今習っていることの意味がわかり、科学に興味を抱くことが出来るようになる本だと思い、早速、高校生の息子に読ませました。ところが、前半の科学史の箇所に興味を示してくれるものと思っていたのですが、程度の低いうちの息子にはちょっと理解しにくいようでした。やはりこの様な内容は、先生が生徒の反応を見ながら興味を引くように直に教えるもので、文字では伝えにくい内容なのかもしれません。
この本は理科や数学の”先生”にこそ、読んでもらい”なぜ・どうして?”がわかる授業の展開に役立てて欲しいと、思いました。
”理科総合”のような中途半端な科目は廃止して、この様な”科学史”の科目を追加して欲しいです。