17歳の少年による殺人事件の裁判で、12人の陪審員中11人は有罪に投票するが、ひとりだけ証拠に疑問を持ち無罪を主張。白熱する議論と説得の中、ひとり、またひとりと無罪の方へ心が傾いていく…。
レジナルド・ローズのTVドラマの映画化で、テレビ版を演出した社会派の名匠シドニー・ルメットが監督。密室の中、決して名前が明かされることのない12人が、それぞれの心理状態や家庭環境によって評決が二転三転していくさまが実にスリリング。会話劇であるにも関わらず、ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、ジャック・ウォーデンなどなど、いぶし銀のような名優たちの言葉による戦いは、まさに映画的で必見である。なお、この映画に感銘を受けた三谷幸喜が、後に記した戯曲が『12人の優しい日本人』で、こちらは日本に陪審員制度が設けられたという設定の下、やはり殺人事件の審議を行う密室コメディ劇であった。(的田也寸志)
難しくないよー
★★★★★
法廷映画で少しも堅苦しくないです。舞台などでもよく演じられていますねェ。
ヘンリーフォンダの名演技には脱帽。
映画を見てると、サスペンスに近いのかな?ハラハラ、ドキドキします。
日本でも裁判員制度がとやかく云われている今日。
あなたも陪審員になったとき、この映画のようになるのでしょうか?
古い時代の映画ですが、今の日本にとっては目の前にある問題です。
いままでたくさんの映画を見ましたが、ぼくのなかではベスト3に入ります。
お勧めの1本。
アメリカの底力
★★★★★
密室劇映画の最高峰と断言してよい古典。その後本作にインスパイアされた作品が日本でも作られたり、ごく最近ロシアでリメイクされたことからも、その影響の大きさはわかる。
短い時間で12人の人間ドラマを引き出したことに感心する。最初から冷静に論理的な推論で説得する者、最初は多数に従っていたが、そう言えばと疑問を提起する者、合理的な推論を突き付けられて動揺する者−どなり合いも交えて、陪審員の人間性が曝け出される。ヤンキースのナイターが気になる男など、各人の事情・性格がしっかり描かれ、細かな癖や会話、トイレ休憩、夕立、窓辺への移動、扇風機、証人の行動の再現、興奮して椅子から立ち上がる様等がアクセントになり、それを長回しや表情のアップのカット等の多彩なカメラワークで撮影し、飽きることがない。
心に2点残る。まず人が人を裁くことの難しさ。人は偏見に目が曇らされるということと弁護者の優劣によって意見が逆転する怖さ。本作品でも、H.フォンダがいなかったら、あるいは熱意ある弁護士が事件を担当していたら、と考え込む。
もう1つは、陪審員制度は民主主義の素晴らしい所で、この国が強い理由だという台詞。市民の責任を全うしようとする良心ある人がいる限り、たとえ失敗はあっても総じて市民の刑事裁判への参加は良い結果(冤罪の防止)をもたらすという信念。理想論すぎるかもしれないが、アメリカの底力を実感する。
私も裁判員に選ばれたなら、有罪であることに合理的な疑いを持つ場合は、良心を曲げずに毅然と行動したい。
最初はテレビで見ました
★★★★★
裁判員制度ができた今、ぜひ、多くの人に見てもらいたい映画です。
最初は、テレビで見ました。
みんなの最初の表向きの意見は、それぞれとりつくろった、もっともらしい意見をのべている。
個々の人の背景や、事情をつきつめていくと、本当の思いや、意見が次第に出てくる。
一人、また一人、意見を変えていく。
意見を変える理由も、動機も違う。
それぞれ複雑な事情を抱えている人があつまっていることがわかる。
現実は、それぞれの背景も事情も分からないので、こういう展開はありえないかもしれない。
裁判員制度において、自分がどう振舞うといいか、考える一つのきっかけにはなるのでないだろうか。
鳥肌モノの人間ドラマ。
★★★★★
カナダに住んでます。学校の授業の一環として、英語の字幕付きで見ました。
正直、オープニングの映像のキレイさだけでもちょっと心惹かれましたが、1室の中での会話、それだけなんです。でも、話が進めば進む程に、皆の心が変化してく…その様子に途中から鳥肌がおさまりませんでした。私は寡聞にして出演されている俳優さんは、陪審員8番さんしか知りませんが…皆さんがどれだけ役になりきっているか…最近の映画みたく細切れ映像のパッチワークじゃなく、長いワンカットの連続なので、台詞も当然ながら長いのですが、出演されてる方々の完璧な演技が凄くて。ちょっと最近日本語を話してないのでうまく日本語で表現出来ないんですが、若い人に見てもらいたいです。過去の名作と呼ぶにふさわしい作品です。
あぁネタバレせんように書くのが非常に難しいけど、ホンマにオススメです。私は何回も見たいと思いました。
シンプルな話なので1回見れば全て分かると思いますが、それでも何回も何回も見たいくらいに、良い作品です。
うまく表現出来ませんが、清々しいエンディングと言い、密室劇で汗くさそうやのに、見終わった後の爽快感が最高な映画でした。
古典的な名作だけど
★★★☆☆
現実にはここまで杜撰な弁護活動はほとんどないだろうけど、こんな弁護をされると害悪に近い。
法曹が雁首揃えて、いったい何を議論していたのだ、と思わせるほど、穴がたくさんある。
じっくり審理した「珍しい」ナイフでさえ、近所で似たような物を買えるってどうなんだ?
僕にとっては、8番陪審員ステキ!というよりは、法曹はしっかりしてくれないとヤバイな、と思わせる一本でした。
でどうです?みなさん。あの少年がほんとうにお父さんを殺してないと思いますか?