インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)

価格: ¥452
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
カエサルの大改革 ★★★★★
一応ポンペイウスと元老院派たちに勝利したカエサルは、ようやくローマに戻る。しかし北アフリカで残党の蜂起があり、
当時の戦車的存在である象を含めた大軍と対峙することになる。もはやいつも通り、数では劣勢に立たされたカエサル側は、
またもやいつも通り、カエサルのアイディアと励ましで成功していく。ようやく政治に戻れることになった
カエサルの大政治改革が後半に述べられ、もはや元老院主導の共和政では今や大国となったローマはうまくいかないと読んだカエサルの、
さまざまな政策がまとめられている。一人への権力の集中がなるべく起こらないようにシステム化されていた共和政の中で、
カエサルは終身独裁官という異例の地位について、拒否権行使さえもうけない独裁官のパワーを存分に発揮、
思うさま改革をやり遂げていく。かつてのスッラと違って反対派の粛清などは行わなかったカエサルは、
アンチ・カエサルたちともども、政治を行っていくのであった・・・
文庫第12巻である本書は、熾烈な会戦等よりもカエサルの実行した政策の数々が興味深い。
カエサルは、現行のシステム下ではローマが大きくなりすぎたこと、それには今までと違う統治が必要であるという明確なビジョンを持っていたようだ。
本巻は、ローマ人たちのゆくえにワクワク、ハラハラするというよりむしろ、国をよりよく治める為に何をどうすべきかを考えさせる巻である。
自らの考えに忠実に生きること。 ★★★★☆
ユリウス・カエサルの壮年後期(ルビコン以後)を描いた中巻。
(50〜55歳まで。)
紀元前49年1月〜紀元前44年3月までの出来事。

--

元老院派の英雄、ポンペイウスとの戦いに勝利し、
戦後処理を行い、
治世の季節に入り、
いくつかの政治改革を行っていく、
ユリウス・カエサルの話。

--

ローマへの凱旋式の様子が楽しい。

『市民たちよ、女房を隠せ。
 禿の女たらしのお出ましだ!』

凱旋式に登場した英雄、カエサルに対しての、
カエサルの軍団兵の台詞である。

--

カエサルの同年代の政治家、キケロへの手紙の一部。

『わたしが自由にした人々が
 再びわたしに剣をむけることになるとしても、
 そのようなことには心をわずらわせたくない。
 何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、
 自らの考えに忠実に生きることである。
 だから、他の人々も、そうあって当然と思っている。』

次の巻でカエサルが暗殺されるということが
わかっているのだけに。
ヨーロッパをを創る人 ★★★★★
 天才の行動は当代の人には理解できないのが特徴である。しかし、後世の人から見れば、その行動の正しさが明白であることも特徴だ。その意味で言えば、カエサルは天才だったと言える。
 ローマ人がイタリア半島周辺に留まっていた時期には有効に機能していた共和制も、支配地域が拡大してしまうと機能不全に陥ってしまう。なぜなら、ローマで開催される市民集会に参加できない市民が増えすぎ、多数の声が反映されなくなった結果、地方に火種が燻る状態となってしまったからだ。この火種を消そうと軍を差し向けても、その指揮官以下中核は1年交代の任期制。敵地で戦争をしなければならないのに、戦争の才を持たない指揮官が任命されるかもしれないのだ。
 カエサルは、ローマ共和制の欠点を明確に認識していた。そして、どういう支配制度を敷けば、広がったローマ世界を平和のうちに治めることが出来るかを考えて行動していた。この制度が有効であることは、カエサルの後継者オクタヴィアヌスの手により生まれ変わったローマ帝国が存続した事からも明らかだろう。しかし、カエサルにとっては自明なローマの欠陥も、当時の元老院議員には理解できなかった。彼らにとって、カエサルの行動は王を目指すための利己的な行動にしか見えなかったのだ。

 現代の政治家は理想を持って政治を行っているのか。こういう話を読むと疑問を感じてしまう。確かに、自分なりの理想を持って政策を立てている人もいるかもしれない。でも、その政策とは、例えれば、いまある道を右に曲がるか左に曲がるかを決めるという程度のものではないのか。新しい道を切り開くように、滑走路を敷設して空を飛ぶというように、抜本的に何かを変えるということまで考えて政治をしている人はいないように思う。
 現代の政治制度は、ローマ共和制が抱えたような問題を孕んでいる気がする。これを劇的な変化によって乗り越えるのか、緩慢な衰退を迎えるのか、静かに選択の時は迫っている。
平時のカエサル改革断行す ★★★★☆
ガリア征討からポンペイウスとの覇権争いまで長い長い年月を戦いに費やしてきたカエサルが、ようやく最終的な目的であるローマ政体の改革に乗り出します。
それは、共和政の打倒と君主政(帝政)への移行。
本書では、カエサルが行った政治・文化などの改革を具体的に列挙し解説します。
専門家にあたらせて暦を変えたり(2000年前に制定したのに現代の暦との誤差が極めて少ない!)とか、現代の本の原型(冊子方式)を考え出したりとか、小ネタも交えています。
本書の最終節は、カエサル暗殺を引き起こす要因となった不満分子の考えに触れていますが、「帝政」への強いアレルギーが引き起こした不幸な事件といえましょう。歴史にイフはないのですが、カエサル暗殺がなかったら…と思わずにいられないくだりです。
もし、 ★★★★★
 カエサルが小アジアでポントス王ファルナケスを破ったのが紀元前47年6月(「来た、見た、勝った」)、カエサルが暗殺されたのが紀元前44年の3月(「ブルータス、お前もか」)。その間の3年強がこの本の扱う内容である。

 古代ローマは急激に膨張し、かつての元老院中心の寡頭政治ではもはや政治が立ち行かなくなってしまった。社会のあちこちに矛盾が表面化し、急速な改革を必要としていた。そして、カエサルという人物がこの時代にはいた。

 カエサルは、ローマ人にとって中興の祖と位置づけられているという。もし、この時代にカエサルがいなかったら、古代ローマはどのように社会の矛盾に向かい合っていたのだろうか。ずっと早く滅び去っていたのだろうか。

 歴史に「もし」は禁物だけれども、「もし、カエサルがいなかったら」と、「もし、カエサルが殺されていなかったら」の二つの「もし」は、考えずにはいられなかった。