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ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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ガリア戦記 ★★★★★
塩野七生氏によるローマ人の歴史物語文庫版第9弾は、大活躍を始めるカエサルの物語である。
カエサルに至っては、ルビコン以前と以後とにそれぞれ複数巻を充てる、ローマ人の物語シリーズの中でも異例の大特集になっている。
ローマ史上、カエサルが極めて重要な位置を占めることは間違いないにしても、それにしても著者は余程のカエサルへの思い入れがあるらしい。
ローマ人そしてカエサルへの愛が随所に滲み出た文章で、著者は恰もそこにいて見てきたかのように生き生きと、カエサルらの物語を描写していく。
本巻のメインはガリア戦役で、カエサルがいわばフル稼働し縦横無尽の活躍を見せる。
凱旋式挙行の機会を放棄してまで執政官に当選したカエサルは、さまざまな政策を実現し、1年の任期終了後は前執政官として属州総督に赴任。
現フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ方面の広大な管轄地と長い任期を確保したうえで属州に赴いたカエサルは、
元老院に諮ることもなしにガリアを平定していく。ガリア人、ゲルマン人共々部族が多くややこしいが、
カエサルが軍事力や機転、素早く的確な状況判断を通して次々と諸部族を制圧していくさまが描かれる。
大きな軍団にとっては意外と戦いにくいゲリラ的戦闘、アウェーの地での兵糧確保、ローマに戻れない状況下でのローマ情勢のコントロール、
各部族の恭順と反乱、前代未聞のライン川渡りとブリタニアへ向けてのドーバー海峡超え・・・とカエサルは難局を乗り越え偉業を達成していく。
人種にこだわることなく、誓言を重視する、リベラルな武士の如きカエサルの姿も興味深い。
退屈を知らない英雄 ★★★★☆
ユリウス・カエサルの壮年前期(前半)を描いた中巻。
(40〜50歳まで。)
紀元前60年〜紀元前54年までの出来事。

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ガリア(現フランス人)戦役。
カエサル大活躍。
ドーヴァー海峡渡ってブリタニア(イギリス)まで
戦線を広げる。

--

フランスの土地を縦横無尽に駆け回り。
あっちゃっこっちゃで勝利・勝利・勝利。
戦場に至っては自らが戦場を駆け回り。
部下の兵士を鼓舞。

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なんというか、文句のつけ様が無い。
文句のつけ様が無いから。
勝利に次ぐ勝利だから。
なんというか。
英雄であることが。
勝利が。
当たり前になる。
そこがこの巻の欠点と云えば欠点にあたると
思うのだけれど。
当たり前になるということは
退屈するということに繋がると思うのだけれど。
それでもなお、面白い。
読むにつれて塩野氏の考えも見えてきた ★★★★★
通勤電車の中で少しずつ読み続けて4ヵ月、やっと第12巻まで読み終えたが、最初は
カエサルだけで何冊もページを割く意味が理解できなかった。

しかし、塩野氏にとって停滞していた政治システムを変えるために出てきたという歴
史的意義と、目標遂行のために硬軟とりまぜた柔軟な対応で進めるカエサルの人間的
魅力が同時に描かれていて、すっかり引き込まれてしまった。

大半がガリア戦記に充てられるこの巻では、淡々とガリアでの戦が描かれているが、
読んでいても決して飽きることはない。繰り返し出てくる記述(たとえば主戦力の非
戦力化)などの戦法の説明も、すっかり私の頭の中に入ってしまっていっぱしの戦史
評論家気取りだ(笑)

また、ガリア人の気質とローマ人の気質の違いを考えると、今のヨーロッパ社会の
複雑さの根底を見る思いがする。同じイタリアでも北イタリアと南イタリアが違うと
地理で習った記憶があるが、「ローマ人の物語」を読んでそれがようやく理解できた
気がする。
ガリア戦記を分かりやすく叙述 ★★★★☆
40歳にしてようやく「起った」カエサルが、ローマ国境をはるかに越え、ガリア人の広大な土地(西はスペイン・イギリスから東はドイツ国境まで)の平定に乗り出します。
本巻のほとんどは、カエサル本人の著になる「ガリア戦記」をもとにしていて、章立ても戦役の1年ごとにまとめられています。私は原典(訳本)を読んでいませんが、毎年の戦役の様子がドラマチックに描写され、一気に読み進みました。
様々な部族で構成されるガリアの土地を、キャラクターの異なる部下を適材適所に使い、同時進行的に多方面で戦いを展開するさまは、まるで日本の戦国時代を思わせ、司馬「国盗り物語」を彷彿とさせます。
塩野氏は、カエサルの文章力を絶賛し、ガリア戦記を忠実に再現しているようですが、そこまで書かれたら「ガリア戦記」を読みたくなってしまいます。
とにかく、わくわくして読める一冊です。
執政官就任からガリア戦役の5年目まで ★★★★★
 この巻では、カエサル・グラックス・ポンペイウスの三頭政治の密約が交わされてカエサルが執政官(コンスル)に就任する1年前の紀元前60年から、前執政官としてガリア属州総督に就任してガリア戦役も5年目となる紀元前54年までの期間が扱われている。

 読後の感想として次の4点が印象に残った。

 第一に、カエサルは「情報」の重要性を認識し、徹底的にその利用を図ったことである。情報が価値を持つのは「古代」においても同じであった。むしろ、情報入手の手段が限られているだけあって現代以上に重要な意味を持つ場合も多かった。彼は、元老院の会議録を公開して市民の批判に曝すようにしたり、政治や戦場における敵に関するさまざまな情報を集め適切に対応した。

 第二に、カエサルの用意が周到で鮮やかであることである。農地法を通すためには執政官となる必要があり、そのためには政治的な足場を固めておく必要がある。その足場を固めるために、仇敵関係にあったポンペイウスとグラックスを秘密裏に味方に引き込むなどはその最たるものであった。この政治上における用意周到さは、戦場においても遺憾なく発揮された。

 第三に、カエサルの知的好奇心が非常に高いことである。著者の塩野さんがたびたびに渡って指摘していることだが、カエサルの『ガリア戦記』には敵となったガリアの諸民族やゲルマン、ブリタニアの文化、風俗、宗教、家族、教育、環境などのことに関する記載が豊富だ。これらの情報は、敵方に関する情報収集の一環として集められたものと思われ、その意味では第一の点と関連するが、「どのような」情報を集めるかということについては収集する側の個性が出てくると思う。

 第四に、どんな逆境におかれても、カエサルは弱音を吐かなかったことである。意思の力の強さを思わずにはいられなかった。