一級品
★★★★★
ディック・フランシスの作品のなかでは最高度とは言えないが、世間の水準と比べれば十分に星五つを取れる。
推理小説としてのサスペンス度は高くないが、十分だ。それは別としても、映画界の内輪話を書いた小説としてみれば、興味深い小説となっている。それぞれ星四つの水準だし、一粒で二つの味が楽しめるから、合わせて、星五つ。
日本の推理小説(その年のベスト1)なんかと比べれば、ずっと水準は上だ。日本の純文学作品の大半と比べても、人間性の描写はずっと優れている。村上春樹を読んで、その軽さにがっかりした人は、本作品を読んで、小説の醍醐味を堪能するといいだろう。