世界の出来事がリアルタイムで報道され、情報があふれる昨今、日本人にとって英語が出来ても十分理解しきれない多くの事例を、わかりやすく楽しく説明してくれる一冊である。
キリスト教文化の優位を信じて疑わない姿勢も相変わらず。あなたはこれを知らないでしょう。そんなことではキリスト教徒の使う英語は理解できません。これが判らなければ西洋文化を知ったことにはなりません。くどいほど知らないでしょう、判らないでしょうとくり返すので、ばかにされているように感じる。
キリスト教社会では政治家やジャーナリストに限らず、たしかに宗教的表現をすることが多い。世俗的音楽の歌詞にも出てくることがあるし、幼い頃からたたき込まれて染みついているのだ。しかしそればかりではない。キリスト教社会では敬虔な信者であることを示したほうが有利だという計算もある。聖書の言葉の引用はその手段のひとつなのだ。それが異教徒に通じないのは当たり前と思うべきだろう。グローバル化を云々するなら、異教徒にキリスト教文化を押しつけるのではなく、宗教色のない表現を用いるのが筋というものだ。
ほんとにキリスト教の知識のない人、なおかつキリスト教に憧れている人が読むなら、あるいは抵抗がないかも知れない。しかしそれ以外の人は内容の薄さにがっかりするだろうし、聖書を読め、真の神を知れという著者の勧めを余計なお世話と感じるだろう。