次第に、聴くにつれて疲労してくる。
この倦怠感に満ちた1つの曲のために、この定価設定で売るのはどんなものか?むしろそちらに疑問が湧く。
しかし、このCD自体は、けっして悪くは無い。憂鬱に抱きすくまれて、さみしく薄暗い気分のなかへ、落ち込みたいだけ落ち込めるだろう、浸りたいだけ浸れるに違いない。なりたければ、の話である。
「永遠の仔」の主題歌になったこの曲は、とても美しくて
繊細で、精密に作られていて…。
下に落としたらパリンと割れてしまうガラスのような危うさを感じさせます。
この曲を聴くと無性に泣きたくなるのは「永遠の仔」のストーリーを思い出すからというだけではなく、
「哀しすぎるほど綺麗」なこの曲に含まれた「毒」が琴線を揺らすからかもしれません。
芸大時代、「武満徹をぶっ殺せ」というビラを配っていたといわれる坂本氏の過去を知るファンから見ると、坂本氏のこういう曲を聞くのは、ちょっと面映いものがありますね。