そのタイトルの響きにとても魅力が感じられます。藤子F作品に
少年少女は欠かせない要素ですが、短編集という形でまとめあ
げると新たな発見があるから不思議です。ポップスの分野でいう所の
〔アルバム=短編集〕と考えれば似たものだと思います。
作品を集めて一つの物に仕上げる。そこに作り手の、テーマごとに
訴えかける想いが画廊の如くイメージに積み上げられ、増幅させる。
F作品の短編集にはそんな力があると思います。
「おれ、夕子」という短編はサイエンスなアイディアが光る一篇だし、
「アン子、大いに怒る」は、「エスパー魔美」の先駆けになった作品。
「山寺グラフィティ」は幼馴染の幽霊が一つのキーになる、美しく
泣けるお話。
ドラえもんなどに比べると大人向けの
感動的な作品や、コミカルな作品も多数収録。