やさしい奇跡
★★★★☆
「天の町やなぎ通り」というでたらめな宛名が書かれた手紙が、郵便局で見つかるように
なりました。
差出人へ手紙を戻しに行こうとした局長さんは、そこでまさおくんと出会い、その手紙が、
今はもうこの世にいないお母さんへの手紙だったということを知ります。
冒頭の、職員と局長さんとの事務的な会話と対照的に、まさおくんと出会ってからの
局長さんの心の変化が読者側と重なり、涙が出そうになりました。
お父さんはきっと、「お母さんはいつでも見守っていてくれている」ということを伝えた
くて、そんな住所を教えたんだろうと思うし、ポストのある家に住んでいるお母さんは、
天の町から今でもまさおくんのことを気にかけているのだろうなということが伝わります。
そんな、まさおくんをとりまくやさしい大人たちが起こした、きっとたった一度きりの、
やさしい奇跡のようなお話です。