買いです。
★★★★☆
著者は、松岡譲と漱石の長女筆子のあいだに生まれた、漱石の孫に当たる方ですが、大正五年に亡くなった漱石とは面識がありません。そのため本書で描かれているのは、父松岡譲や漱石没後の夏目家の有様がほとんどで、半藤一利氏の著作のようなもののつもりで読むと肩すかしを食らうかもしれません。ただ、そういった先入観がなければ、おっとりとした語り口の上品な文章で、父松岡譲や久米正雄をはじめとする文人たちの素顔や、古き良き日本の生活を偲ばせてくれる良質のエッセイであると思います。
ユーモアに富んだ文章だと思います
★★★★☆
漱石その人との思い出はほとんどないようですけど、漱石夫人である祖母の鏡子さんや
漱石の娘で著者の母親筆子さんの思い出はたっぷり書かれています。
半藤さんの筆致は、いかめしさと軽やかさがうまくミックスされているように感じ、
これまでも楽しく読んできました。
漱石の人となりはだいたい把握していましたが、身近な人が語る夏目家の様子を知ると
また新たな目で漱石の作品を読んでみたくなりました。
松岡家の思い出
★★★★☆
『夏目家の糠みそ』と『漱石夫人は占い好き』の2冊から、漱石に関するものを取り出して新たに一冊としたもの。
著者は夏目漱石の孫に当たる女性。長女・筆子と松岡譲の娘ということになる。また、半藤一利氏の夫人でもあるとか。ただし、両親の結婚自体が漱石の没後なので、祖父との直接の面識はないという。
内容はかなり雑多。夏目家で飼われていた猫の爪が黒かったこと、両親の結婚の経緯、祖母(漱石夫人)から伝えられた糠床、松山と熊本というゆかりの地での漱石の扱いの違い、夫のことなどなど。
どちらかというと、印象深いのは両親の松岡夫妻のエピソードだ。松岡家の思い出という感じの本だ。
文章は親しみやすく、ユーモアがあり、面白い。これも血のなせるわざなのか。
息抜きの漱石研究
★★★☆☆
半藤末利子さんは、「昭和史」で有名な半藤一利さんの奥さんだったのですね。
しかも、夏目漱石の孫にあたるそうで。
漱石がなくなったのが大正5年、半藤さんが生まれたのが昭和10年、
祖父が漱石とはいえ面識はないわけで、
当然漱石の妻鏡子さん、長女で母親の筆子さんとのエピソードがほとんどとなっています。
ただ、内面から見た人でしかわからない夏目家の様子がしっかりと、
といって堅苦しくなく気軽に書かれているのでとても読みやすいと思います。
夏目家の猫はもちろん、夏目家の糠みそや長岡での暮らしなどなど。
これを読むと、もう一度漱石の作品を読み返したくなりますよ。