中欧の思い出?
★★★★☆
池内さんの作品、最近どうしたんでしょう。なんか身辺雑記のような作品が多くなってしまって、ちょっと遠ざかっていました。でも今回の作品は、この作品の構成になんかひきつけられるものがあって購入してしまいました。何気ない書きぶりながら、池内さんの数十年にわたる旅のエッセンスが凝縮された作品に出来上がっています。たしかにそこにはステレオタイプされた見方が如実に現れていますが、若干退屈したところに以下の文に遭遇しました。”人生がまさしくこれと同じ原理で成り立っている。...いつまでもそこにはいられない。いずれはおサラバをする。日常の中で、つい忘れられていた、ルーチン化した毎日にあって、いつまでも同じようにつづくものと思っている。やがてある日突然連続性がたち切られ、ようやく気がつくこと、旅の終わりがさまざまとそれを実感させてくれる”。これこそ、池内さんが言いたかったことなんですね。となるとなんともいえない気分になりました。最後に、池内さんが取り上げられている題材は、ほとんどが中欧や旧東欧を髣髴させて、アメリカやイギリスはかけらもでてこないようです。これも意味深ですね。