郷愁
★★★★★
『青春は美わし』は青年が故郷へ一時帰省するお話。
ヘッセは田舎の郷愁を表現するのがとても上手いです。
まるで自分が上京して、何年ぶりかに故郷へ帰った時のことを思い出します。
故郷へ向かう列車に乗った時、家へ帰って家族に再会したあの感覚、そして昔恋をしていた少女との再会。
そして別れ際、車窓から見える家族のエール・・・。
短編だけども主人公の気持ちが痛いほど読み取れる作品です。
もう一つの短編『ラテン語学校生』は、思わず主人公の言動に笑ってしまいました。
恋をすると周りが見えなくなる。
しかも初恋のお話なので、主人公のカールは周りが見えないどころか半ば暴走気味。
その初々しさを感じれます。